(P03)LL型ハンセン病の再燃の1例

34年前発症し不十分な治療のため約28年後に再燃したLL型症例を経験した. らい菌のdoubling timeは10~20日と長く, 末梢神経内などに残存した菌が増殖し臨床症状が現れるまでに長時間を要すると考えられる. 従って暫らくの期間, 少数だが再燃例や新患が発見される可能性が推測される. [症例]66歳, 男. 主訴:略全身の皮疹. 初診:2003年6月27日. 既往歴:1970年にLL型ハンセン病の診断. 現病歴:1970年, 顔や四肢に小結節が生じ検診でハンセン病と診断された. 某診療所で2ヵ月間化学療法を受け, 皮疹が消失したため自己判断で治療を中断した. その後, 同年末の検診で...

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Veröffentlicht in:日本ハンセン病学会雑誌 2004-03, Vol.73 (2), p.131-131
Hauptverfasser: 細川篤, 平良清人, 新垣肇, 野中薫雄, 照屋操, 城間弘喜, 澤口昭一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:34年前発症し不十分な治療のため約28年後に再燃したLL型症例を経験した. らい菌のdoubling timeは10~20日と長く, 末梢神経内などに残存した菌が増殖し臨床症状が現れるまでに長時間を要すると考えられる. 従って暫らくの期間, 少数だが再燃例や新患が発見される可能性が推測される. [症例]66歳, 男. 主訴:略全身の皮疹. 初診:2003年6月27日. 既往歴:1970年にLL型ハンセン病の診断. 現病歴:1970年, 顔や四肢に小結節が生じ検診でハンセン病と診断された. 某診療所で2ヵ月間化学療法を受け, 皮疹が消失したため自己判断で治療を中断した. その後, 同年末の検診で再燃を発見され1年間, 国立療養所沖縄愛楽園に入園治療後に自己退所. その後, 当科初診の5年前に再燃したが放置していた. 視力障害を主訴に本年5月中部徳洲会病院眼科を受診し, 同病院皮膚科でハンセン病と診断され紹介により当科を受診. [現症]ほぼ全身に(頭部, 腋窩, 鼠径部~肛囲を除き)紅色丘疹, 局面, 結節や紅斑および浸潤性紅斑が比較的に対称性に分布. 肘部尺骨神経に放散痛が, 両手に鷲, 猿手が, 両眼に結膜炎と角膜潰瘍が, 左眼結膜に結節がみられる. [検査所見]知覚テスト:皮疹に一致して軽度の知覚障害(温度, 痛覚, 触覚)が見られ, 四肢末梢部で知覚障害がより明らかである. 抗PGL-I抗体価2048倍, 血液検査WBC6300/μl, Eosi 13%, 糞線虫(培養陽性, 集卵法陰性), IgE8700 IU/ml. 病理組織(上腕紅色結節)では表皮直下の明帯が存在し, 類上皮細胞性肉芽腫は組織球~類上皮細胞と泡沫細胞やリンパ球から構成される. サーモグラフィーで手足に不規則な温度分布がみられる. [菌検査]皮疹スミア(前腕結節)と鼻汁スミア:BI 4~5+, SFG6(2-1-1)~9(2-1-0), MI約50%. [診断と治療]皮疹の多様性とその分布の対称性の程度からLLs型と考えられ, 両側性の鷲, 猿手と握力低下や肘部尺骨神経の放散痛, 四肢末梢部の知覚障害から発症からの経過が長いと思われた. ランプレンと末梢循環改善剤を6ヵ月間の予定で化学療法を開始し, 6ヵ月目の現在までは経過良好である.
ISSN:1342-3681