急性感染症後に低T3症候群を呈した2幼児例

「緒言」低T3症候群(low T3 syndrome)は, 甲状腺機能検査でfree T3(fT3)低値を認め, 血中free T4(fT4), thyroid stimulating hormone(TSH)は正常値から軽度低下し, reverse T3(rT3)高値を呈する生体の適応現象だと考えられている. 甲状腺疾患ではなく“euthyroid sick syndrome”, “nonthyroidal illness syndrome”とも呼ばれ, 現在は後者の呼称が一般的である1)2). 全身性疾患や過度のストレスにより発症し, 基礎疾患としては急性・慢性疾患, 飢餓状態, 手術, 外傷, 悪性腫瘍などが報告されている3). 急性感染症後では数時間で, 飢餓状態では24～48時間以内に, 甲状腺機能低下が認められることが多いとされる1)4). また, 血中のfT3・fT4の最低値は疾患の重症度と相関関係があるとされる1)4). 今回, 急性感染症後に低T3症候群を認めた2幼児例を経験したので報告する.