背理性複視により診断の苦慮された非機能性下垂体腺腫の1例

【I 緒言】 突発する同側性複視は通常内斜視を示し, 開散麻痺, 両外転神経麻痺によるものが一般的とされている1)2). 今回我々は外斜視を呈し, 同側性複視を訴える背理性複視の症例に対し, 網膜異常対応を伴った開散麻痺と診断することにより, 下垂体腺腫を発見できたきわめて珍しい症例を経験したのでここに報告する. 【II 症例】 症例 21歳, 女性 主訴:複視 既往歴:S44年(4歳)2階より転落し開頭手術施行されている. S49年(9歳)外斜視にて左眼手術施行されたが, 詳細不明. その後両眼視力低下, 視野の異常に気づいていたようである. S56年appendectomy施行され, S6...

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Veröffentlicht in:東京女子医科大学雑誌 2012, Vol.82 (suppl), p.307-311
Hauptverfasser: 大須賀方子, 桐渕和子, 井沢正博
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【I 緒言】 突発する同側性複視は通常内斜視を示し, 開散麻痺, 両外転神経麻痺によるものが一般的とされている1)2). 今回我々は外斜視を呈し, 同側性複視を訴える背理性複視の症例に対し, 網膜異常対応を伴った開散麻痺と診断することにより, 下垂体腺腫を発見できたきわめて珍しい症例を経験したのでここに報告する. 【II 症例】 症例 21歳, 女性 主訴:複視 既往歴:S44年(4歳)2階より転落し開頭手術施行されている. S49年(9歳)外斜視にて左眼手術施行されたが, 詳細不明. その後両眼視力低下, 視野の異常に気づいていたようである. S56年appendectomy施行され, S61年6月子宮外妊娠のため一側卵巣摘出術施行されている. 家族歴:特記すべきことはない. 現病歴:S61年9月頃よりコンピューターの仕事をした後に眼精疲労, 易疲労感, 頭痛と共に複視を自覚するようになった. その後症状が軽減しないためS61年10月6日当科初診した.
ISSN:0040-9022