微小流体力学法および移動重力沈降法で選別処理した精子の運動能とDNA断片化の評価

「要旨」 : 体外受精に用いる精子の選別における代表例である密度勾配遠心分離法は, 遠心分離や長時間の処理などの影響による精子DNA断片化や細胞膜損傷などが懸念されている. 我々は精子への物理的損傷の影響を軽減すべく, 微小流体力学法および移動重力沈降法による新しい選別処理法を検討した. 精子の運動能とDNA断片化率は, 両手法ともに選別前と比べると有意に改善が見られ, 従来法に比べてもDNA断片化率が低い精子が回収できた. 遠心分離を用いない両手法による比較では, DNA断片化率に関しては有意な差は認めなかったものの, 移動重力沈降法の方が微小流体力学法を用いた手法よりも運動性の高い精子が回...

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Veröffentlicht in:Journal of Mammalian Ova Research 2020-11, Vol.37 (2), p.107-111
Hauptverfasser: 大久保毅, 樋口謙太, 林輝明, 恩田知幸, 松尾涼子, 大見健二, 瀬川智也
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」 : 体外受精に用いる精子の選別における代表例である密度勾配遠心分離法は, 遠心分離や長時間の処理などの影響による精子DNA断片化や細胞膜損傷などが懸念されている. 我々は精子への物理的損傷の影響を軽減すべく, 微小流体力学法および移動重力沈降法による新しい選別処理法を検討した. 精子の運動能とDNA断片化率は, 両手法ともに選別前と比べると有意に改善が見られ, 従来法に比べてもDNA断片化率が低い精子が回収できた. 遠心分離を用いない両手法による比較では, DNA断片化率に関しては有意な差は認めなかったものの, 移動重力沈降法の方が微小流体力学法を用いた手法よりも運動性の高い精子が回収可能であった. また, 微小流体力学法では装置の特性上, 総運動精子数の回収が少なかった欠点が移動重力沈降法では改良されており, 顕微授精と体外受精両方の媒精に用いることができると期待される.
ISSN:1341-7738