組換えビフィズス菌をDDS (ドラッグデリバリーシステム) として用いたがん治療法の開発

「1. はじめに」がんはわが国における死因の第一位である. がんによる死亡者数は年々増加しており, 2015年には約37万人に達したが, これは1985年の約2倍である. がんの治療は, 早期のステージにおいては外科的手術により根治を目指すが, 現実にはかなりの頻度で術後に再発がみられる. がんが再発した場合, 毛細血管が発達した肺や肝臓を中心に全身に転移するため, 全身療法である薬物療法が行われる. このとき投与される抗がん剤は, がん病巣のみならず全身の正常組織にまで行き渡るため, 従来の細胞障害性抗がん剤では, 重篤な骨髄抑制や心毒性などの副作用が問題となり, 患者に対して十分な治療がで...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:YAKUGAKU ZASSHI 2018-07, Vol.138 (7), p.923-930
Hauptverfasser: 平裕一郎, 平郁子, 西川毅, 石田功
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」がんはわが国における死因の第一位である. がんによる死亡者数は年々増加しており, 2015年には約37万人に達したが, これは1985年の約2倍である. がんの治療は, 早期のステージにおいては外科的手術により根治を目指すが, 現実にはかなりの頻度で術後に再発がみられる. がんが再発した場合, 毛細血管が発達した肺や肝臓を中心に全身に転移するため, 全身療法である薬物療法が行われる. このとき投与される抗がん剤は, がん病巣のみならず全身の正常組織にまで行き渡るため, 従来の細胞障害性抗がん剤では, 重篤な骨髄抑制や心毒性などの副作用が問題となり, 患者に対して十分な治療ができない. この問題の解決を図るためには, 薬物送達(drug-delivery system;DDS)により腫瘍部位でのみ薬剤を作用させ, 他の正常組織には作用させない必要がある.
ISSN:0031-6903