Menkes病治療薬の開発をめざしたジスルフィラム—銅錯体の可溶化

「はじめに」 Menkes病(Menkes disease; MD)及びoccipital horn症候群(occipital horn syndrome; OHS)は, 銅輸送タンパクであるATPase (ATP7A)が機能せず, 重篤な銅欠乏障害を呈するX染色体劣性遺伝性疾患である. 正常細胞においては, ATP7Aはゴルジ体膜にあり, サイトソルからゴルジ体への銅の輸送を司っている. ゴルジ体に輸送された銅は分泌銅酵素と結合して細胞外に分泌され, 生体内で機能することができる. しかし, MD細胞では, ATP7Aが機能しないため, 銅はサイトゾルに蓄積し, ゴルジ体は銅欠乏になる. そ...

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Veröffentlicht in:YAKUGAKU ZASSHI 2015/03/01, Vol.135(3), pp.493-499
Hauptverfasser: 星, 佑次郎, 谷, 紀彦, 田畑, 英嗣, 若松, 真太朗, 宗形, 光敏, 丸山, 一雄, 児玉, 浩子, 忍足, 鉄太, 夏苅, 英昭, 高橋, 秀依
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」 Menkes病(Menkes disease; MD)及びoccipital horn症候群(occipital horn syndrome; OHS)は, 銅輸送タンパクであるATPase (ATP7A)が機能せず, 重篤な銅欠乏障害を呈するX染色体劣性遺伝性疾患である. 正常細胞においては, ATP7Aはゴルジ体膜にあり, サイトソルからゴルジ体への銅の輸送を司っている. ゴルジ体に輸送された銅は分泌銅酵素と結合して細胞外に分泌され, 生体内で機能することができる. しかし, MD細胞では, ATP7Aが機能しないため, 銅はサイトゾルに蓄積し, ゴルジ体は銅欠乏になる. その結果, 銅は細胞外に分泌されず, 生体は銅が欠乏した状態になる. 例えば, MD患者の腸管粘膜では, 摂取した銅は小腸粘膜に蓄積し, 体内に分泌されず, 重篤な銅欠乏になり, チトクロームCオキシダーゼ(cytochrome c oxidase; CCO), リシルオキシダーゼ(lysyl oxidase; LOX), ドーパミンβヒドロキシラーゼ(dopamine beta hydroxylase; DBH)等の銅酵素の活性が低下する.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.14-00188