結腸の疼痛及び炎症におけるガス状情報伝達物質硫化水素の役割

「1. はじめに」 硫化水素(hydrogen sulfide ; H2S)は, 有毒な火山ガスの1つであり, 登山者が高濃度のH2Sを吸引し, 死亡する事故が稀に起こる. また, 日本では2008年ごろにH2Sを用いた自殺が相次ぎ社会問題となった. このようにH2Sは毒性の強いガスとして有名だが, 哺乳動物の生体内で酵素的に生成され, 一酸化窒素や一酸化炭素につぐ, 第3のガス状情報伝達物質として機能していることが明らかにされている. 本稿ではH2Sの産生経路及び標的分子について概説し, 内臓痛及び結腸炎症における役割についてわれわれの知見を中心に紹介する. 「2. H2Sの産生経路」 生体...

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Veröffentlicht in:YAKUGAKU ZASSHI 2014/12/01, Vol.134(12), pp.1245-1252
Hauptverfasser: 坪田, 真帆, 川畑, 篤史
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」 硫化水素(hydrogen sulfide ; H2S)は, 有毒な火山ガスの1つであり, 登山者が高濃度のH2Sを吸引し, 死亡する事故が稀に起こる. また, 日本では2008年ごろにH2Sを用いた自殺が相次ぎ社会問題となった. このようにH2Sは毒性の強いガスとして有名だが, 哺乳動物の生体内で酵素的に生成され, 一酸化窒素や一酸化炭素につぐ, 第3のガス状情報伝達物質として機能していることが明らかにされている. 本稿ではH2Sの産生経路及び標的分子について概説し, 内臓痛及び結腸炎症における役割についてわれわれの知見を中心に紹介する. 「2. H2Sの産生経路」 生体内におけるH2S濃度は, 以前まではヒト血漿中に50μM, ラット脳組織中に100μM程度と言われていたが, 測定方法に問題があり, 現在の改良された測定方法からマウス及びラットの肝臓及び脳組織中において数nM~数μM程度ではないかと考えられている.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.14-00209-2