ビタミン D 受容体遺伝子欠損によるⅡ型くる病に対する遺伝子治療 およびゲノム編集治療の可能性

「1. はじめに」 遺伝病とは, 遺伝子上の何らかの変異が原因となって発症する疾患の総称である. 投薬などの治療法が存在しない場合, 正常型の遺伝子を患者に導入する遺伝子治療が期待される. また, 近年開発されたゲノム編集技術により異常な遺伝子を正常な遺伝子に置換するという, まさに夢の技術が現実化しつつある. 我々は現在, ビタミンD受容体(VDR)の機能不全によってもたらされるII型くる病に対する遺伝子治療の実現を目指し, 研究を進めている. 以下では最近の研究成果の一端を紹介するとともに, 正常型VDRの発現によるII型くる病の遺伝子治療, さらにはゲノム編集技術を用いた遺伝子治療の可能...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:ビタミン 2022/02/25, Vol.96(2), pp.41-45
Hauptverfasser: 木瀬, 智子, 安田, 佳織, 西川, 美宇, 榊, 利之
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」 遺伝病とは, 遺伝子上の何らかの変異が原因となって発症する疾患の総称である. 投薬などの治療法が存在しない場合, 正常型の遺伝子を患者に導入する遺伝子治療が期待される. また, 近年開発されたゲノム編集技術により異常な遺伝子を正常な遺伝子に置換するという, まさに夢の技術が現実化しつつある. 我々は現在, ビタミンD受容体(VDR)の機能不全によってもたらされるII型くる病に対する遺伝子治療の実現を目指し, 研究を進めている. 以下では最近の研究成果の一端を紹介するとともに, 正常型VDRの発現によるII型くる病の遺伝子治療, さらにはゲノム編集技術を用いた遺伝子治療の可能性について論じる. 「2. ビタミンDの作用メカニズムとII型くる病」 まず, ビタミンD依存症II型くる病について説明する. 我々は, 主にビタミンDを多く含む食物の摂取(鮭, 鮪, 鰯などの魚類)(ビタミンD3)キクラゲ, シイタケなどのキノコ類(ビタミンD2), もしくは日光浴による皮膚でのビタミンD3生合成により, 体内にビタミンDを得る.
ISSN:0006-386X
2424-080X
DOI:10.20632/vso.96.2_41