6. 神経精神症状を呈したビタミンB12欠乏患者の脳血流

ビタミンB12欠乏により多彩な神経精神症状を呈した患者で, SPECT (Single Photon Emission Computed Tomography)により脳血流量を評価した. 脳血流量の低下を認め, B12投与により, 改善した. 症例は64歳, 男性. 2007年頃から言語障害と歩行障害で発症. 2009年頃から, 起立および階段昇降困難となる. 2010年3月初旬, 物忘れを家族に指摘され, 筋力低下, 認知機能低下などの精査目的に入院. 10年前に胃癌にて胃1/3切除術を受けた. 飲酒は焼酎コップ1杯. 若い時には日本酒で1升/日ちかい多量飲酒者であった. 初診時現症, 貧血なし. 腹部に手術痕あり. 神経学的所見, 易怒性(+), 吸引反射(+), 構音障害あり, 四肢近位筋優位に筋力低下, Gowers徴候(+). 膝から遠位部に感覚障害, 深部覚低下しており, 深部腱反射は全体的に亢進しているが, アキレス腱反射消失, Babinski反射±/±.