腎障害モルモットにおけるアルミニウムの生体内吸収蓄積に及ぼすアスコルビン酸の影響

アルミニウム(Al)は地殻を構成する主要な金属元素のひとつであり, 雲母, 長石中に多く存在している. また近年は重要な金属材料として家庭生活用品, 医薬品などにも幅広く利用されている. しかし, 近年, 世界的な環境問題となっている酸性雨による川, 湖水中への流出, また糖尿病などの理由で増加してきた腎透析患者に多く見られる骨疾患1), 透析性の神経障害2)などとの関係から, Alの毒性が重要視されている. 長い間Alは無毒であると考えられていたため, 多くの医薬品にAl化合物が使われている. そのため, 慢性腎不全患者では特にAlの蓄積に注意しなければならない. Alの生体内吸収, 蓄積に及ぼす各種因子についてはまだ不明の点が多い. そのうち, Alとクエン酸などの有機酸との同時摂取が腸からの吸収を促進するという報告がある3). アスコルビン酸(AsA)は有機酸であることから, Alとの吸収, 蓄積との関係が考えられる. 本研究はAlの生体内吸収に及ぼすAsAの影響を明らかにするため, 高Alと高AsAを同時摂取した場合のAlの吸収に及ぼす影響を動物実験で明らかにしたものである.