自己免疫性脳炎における診断と抗体測定におけるピットフォール

「はじめに」自己免疫性脳炎(autoimmune encephalitis: AE)は, 脳に特異的な免疫応答によって生じる脳炎の一型であり, 通常, neuronあるいはgliaの細胞表面抗原に対する自己抗体を認める. NMDA受容体(N-methyl-D-aspartate receptor: NMDAR)抗体の発見以降, 神経表面(neuronal surface: NS)抗原に対するIgG型の自己抗体(NS抗体)が次々と発見されてきた. それに伴い急性脳炎の疾患概念も大きく変化した. 従来の急性脳炎の診断基準はウイルスなどの感染性脳炎を念頭に策定されてきたため, 発熱, 意識障害, 髄...

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Veröffentlicht in:神経治療学 2023, Vol.40(3), pp.368-376
Hauptverfasser: 飯塚, 高浩, 長田, 奈緒美, 金澤, 直美
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」自己免疫性脳炎(autoimmune encephalitis: AE)は, 脳に特異的な免疫応答によって生じる脳炎の一型であり, 通常, neuronあるいはgliaの細胞表面抗原に対する自己抗体を認める. NMDA受容体(N-methyl-D-aspartate receptor: NMDAR)抗体の発見以降, 神経表面(neuronal surface: NS)抗原に対するIgG型の自己抗体(NS抗体)が次々と発見されてきた. それに伴い急性脳炎の疾患概念も大きく変化した. 従来の急性脳炎の診断基準はウイルスなどの感染性脳炎を念頭に策定されてきたため, 発熱, 意識障害, 髄液細胞増多, 頭部MRI, あるいは脳波の異常所見が重視されてきた. しかし, AEではこれらの症候あるいは異常所見を必ずしも認めるとは限らないこと, また, 実臨床では抗体結果をすぐに知ることは困難であることから, 「AEの診断に対する臨床的アプローチ」が2016年にposition paperとしてLancet Neurologyに掲載された.
ISSN:0916-8443
2189-7824
DOI:10.15082/jsnt.40.3_368