脊髄小脳変性症の治療の進歩

「はじめに」脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration: SCD)は運動失調を主な症状とした, 小脳をはじめ脳幹や脊髄などの神経細胞が次第に脱落する神経変性疾患の総称である. 孤発性と遺伝性に大別されるが, 孤発性のものの大多数は多系統萎縮症(multiple system atrophy: MSA)であり, 遺伝性の場合は多くは常染色体顕性遺伝性の脊髄小脳失調症(autosomal dominant spinocerebellar ataxia: AD-SCA)である. ゲノム解析技術の革新によりSCDの遺伝的原因は徐々に明らかになってきているが, 未だFood...

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Veröffentlicht in:神経治療学 2022, Vol.39(5), pp.773-777
Hauptverfasser: 樋口, 雄二郎, 髙嶋, 博
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration: SCD)は運動失調を主な症状とした, 小脳をはじめ脳幹や脊髄などの神経細胞が次第に脱落する神経変性疾患の総称である. 孤発性と遺伝性に大別されるが, 孤発性のものの大多数は多系統萎縮症(multiple system atrophy: MSA)であり, 遺伝性の場合は多くは常染色体顕性遺伝性の脊髄小脳失調症(autosomal dominant spinocerebellar ataxia: AD-SCA)である. ゲノム解析技術の革新によりSCDの遺伝的原因は徐々に明らかになってきているが, 未だFood and Drug Administration(FDA)に認可された根治治療薬や対症療法, 神経保護療法はないが, ここ10年間では治療研究はめまぐるしい進歩を続けている. 将来, 期待されている新規治療法には, 遺伝子治療, アンチセンスオリゴヌクレオチド(antisense oligonucleotides: ASO), CRISPR-ゲノム編集治療(clustered regularly interspaced short palindromic repeats), 間葉系幹細胞移植, 薬理学的製剤などによる対症療法などがある.
ISSN:0916-8443
2189-7824
DOI:10.15082/jsnt.39.5_773