局所合併症に対する内視鏡的治療

急性膵炎全体の致命率は改善しているが,後期の局所合併症である感染性膵壊死を合併した症例の致命率はいまだに高く,課題の1つである.感染例や有症状例は侵襲的治療の適応となる.超音波内視鏡下ドレナージと内視鏡的ネクロセクトミーによる経消化管的治療を主軸とした内視鏡的ステップアップ・アプローチが開発され,良好な治療成績が報告されている.『急性膵炎診療ガイドライン2021 第5版』でも経消化管的にアプローチできる症例では第一選択として推奨されている.しかし,内視鏡的ネクロセクトミーは重篤な偶発症が起こりうるため,その適応を含め慎重な対応が求められる.近年,専用の大口径ステントが本邦でも保険収載され,ドレ...

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Veröffentlicht in:膵臓 2022/10/31, Vol.37(5), pp.239-250
Hauptverfasser: 向井, 俊太郎, 糸井, 隆夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:急性膵炎全体の致命率は改善しているが,後期の局所合併症である感染性膵壊死を合併した症例の致命率はいまだに高く,課題の1つである.感染例や有症状例は侵襲的治療の適応となる.超音波内視鏡下ドレナージと内視鏡的ネクロセクトミーによる経消化管的治療を主軸とした内視鏡的ステップアップ・アプローチが開発され,良好な治療成績が報告されている.『急性膵炎診療ガイドライン2021 第5版』でも経消化管的にアプローチできる症例では第一選択として推奨されている.しかし,内視鏡的ネクロセクトミーは重篤な偶発症が起こりうるため,その適応を含め慎重な対応が求められる.近年,専用の大口径ステントが本邦でも保険収載され,ドレナージ効果が高く,効率よくネクロセクトミーを行うこともできるため治療成績の向上が期待されている.しかし,骨盤腔に及ぶような症例に関しては内視鏡治療単独では難渋するため,経皮的治療や外科的治療の併用を検討すべきである.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.37.239