2-C-5-4 エナメル上皮腫の臨床的検討 -治療法と予後について

1985年から2002年までの17年間に, 当科を受診し病理組織学的にエナメル上皮腫と診断された34例について臨床的に検討した. 性別は, 男性22例, 女性12例で, 年齢は, 10歳から83歳で平均42歳であった. 発生部位は, 下顎が33例, 上顎が1例と下顎に多かった. 下顎の亜部位では, 大臼歯部が最も多く, ついで小臼歯部, 下顎枝の順であった. WHOの分類による組織型は, follicular typeが22例, plexiform typeが10例であった. acanthomatous typeとdesmoplastic ameloblastomaが各1例であった. これを,...

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Veröffentlicht in:日本口腔科学会雑誌 2005, Vol.54 (1), p.121-122
Hauptverfasser: 小佐野仁志, 岡田成生, 宮内 徹, 松村俊男, 星健太郎, 松本浩一, 小尾友梨, 草間幹夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:1985年から2002年までの17年間に, 当科を受診し病理組織学的にエナメル上皮腫と診断された34例について臨床的に検討した. 性別は, 男性22例, 女性12例で, 年齢は, 10歳から83歳で平均42歳であった. 発生部位は, 下顎が33例, 上顎が1例と下顎に多かった. 下顎の亜部位では, 大臼歯部が最も多く, ついで小臼歯部, 下顎枝の順であった. WHOの分類による組織型は, follicular typeが22例, plexiform typeが10例であった. acanthomatous typeとdesmoplastic ameloblastomaが各1例であった. これを, X線所見との関係でみると, follicular typeは単房性が多房性や混合性に比べ著明に多い結果であった. plexiform typeでは, 単房性, 多房性ともに差は見られなかった. 治療法は, 摘出掻爬開窓のみが13例と最も多く, 次いで下顎辺縁切除が8例で以下, 下顎区域切除が5例, 摘出掻爬開窓および下顎区域切除, 摘出掻爬開窓および辺縁切除, 摘出掻爬開窓および半側切除が各2例の順であった. また, 臨床的に他の嚢胞あるいは良性腫瘍と診断し摘出術を施行した症例が2例あった. 下顎区域切除および半側切除をした9例に顎骨再建を行った. その内訳は, 腸骨移植が7例, チタン再建用プレートによる再建が2例であった. 治療経過は, 根治手術のみをした13例には再発した症例はなく, 一方, 顎骨保存療法を施行した21症例のうち摘出掻爬開窓のみで腫瘍細胞の消失が確認された症例が4例あり, その手術回数は3回から8回であった. 経過観察期間は5年から9年9か月で再発は認められない. 顎骨保存療法で制御できなかったと診断され, 顎骨切除療法を施行されていたのは, 7例であった. 顎骨保存療法での腫瘍の残存部位は, 腫瘍の深部であり手術操作が困難であったとも考えられた. 今後, 顎骨保存療法の根治性を高めるため症例の選択と術式の改善をすすめる予定である.
ISSN:0029-0297