2-I-03-1.ブドウ状歯原性嚢胞botryoid odontogenic cystの1例

今回私たちは, 下顎に発症したbotryoid odontogenic cystの1例を経験したので報告する. 症例は59歳女性. 初診は2002年3月28日, 下顎前歯部の腫脹を主訴に来院していた. 2000年3月頃から前歯部の腫脹感を自覚していたが疼痛がないため放置した. 歯科治療目的で近歯科医院を受診した際, 下顎左側切歯から犬歯の根尖相当部に嚢胞様透過像の指摘を受け精査目的で紹介された. 初診時, 下顎左側前歯歯肉部に2×2cm大の弾性軟で境界明瞭な無痛性腫脹を認めた. オルソパントグラフィーより, 左側下顎側切歯から犬歯にかけての根尖相当部に境界明瞭な多房性嚢胞様透過像を認めた. エ...

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Veröffentlicht in:日本口腔科学会雑誌 2003, Vol.52 (6), p.460-460
Hauptverfasser: 森一将, 竹島浩, 嶋田淳, 島田藍, 正田久直, 清水麻斎子, 並木一郎, 草間薫, 安井利一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:今回私たちは, 下顎に発症したbotryoid odontogenic cystの1例を経験したので報告する. 症例は59歳女性. 初診は2002年3月28日, 下顎前歯部の腫脹を主訴に来院していた. 2000年3月頃から前歯部の腫脹感を自覚していたが疼痛がないため放置した. 歯科治療目的で近歯科医院を受診した際, 下顎左側切歯から犬歯の根尖相当部に嚢胞様透過像の指摘を受け精査目的で紹介された. 初診時, 下顎左側前歯歯肉部に2×2cm大の弾性軟で境界明瞭な無痛性腫脹を認めた. オルソパントグラフィーより, 左側下顎側切歯から犬歯にかけての根尖相当部に境界明瞭な多房性嚢胞様透過像を認めた. エナメル上皮腫を疑い, 同年5月23日全身麻酔下にて開窓術を施行した. 病理組織学的検査では嚢胞は多房性で, 非角化性の扁平上皮に裏装され, 上皮の一部にいわゆる上皮の限局性肥厚(プラーク)および粘液産生細胞がみられた. また嚢胞壁には上皮島(歯原性上皮)の存在があり, 病理組織診断としてbotryoid odontogenic cystとした. 6か月経過後レントゲン所見は縮小傾向がみられ, 臨床所見においても特記すべき点はなく今後も経過観察予定である. 本症は側方性歯周嚢胞の亜型と考えられており, いくつかの報告例はあるが, 極めてまれな疾患とされている. そこで私たちは, 本症例を病理組織学的に検討し, 文献的考察を加え報告する. 質問 岡山大大学院歯顎口腔病態外科 西山明慶 再発しやすいというのは, 病理学的, 臨床病態的に何か理由があるのでしょうか. 回答 明海大歯口外1 森一将 再発の原因は, 多房性を呈するため, 取り残しによるものが主なようです. また文献的には, 本嚢胞の性質に. 強い侵襲性をもつものがあり, 再発原因の1つとも考えられております. 質問 慈恵医大歯科 田辺晴康 手術術式で多房性の隔壁はどのようにしましたか. 回答 明海大歯口外1 森一将 隔壁は, すべて除去しております.
ISSN:0029-0297