3.転位関節円板の重度骨化を呈した変形性顎関節症の1例
今回われわれは関節円板の転位と重度の骨化のため開口障害を認めた変形性顎関節症の1症例を経験したのでその概要を報告した. 患者は61歳の女性で, 平成9年開口障害および左顎関節の疼痛を主訴に近医歯科を受診. 顎関節症の診断のもとスプリントにて加療受けるも著明な症状軽減はなく当科紹介となった. 現症として顔貌は小下顎症様で, 開口量は23mm. 顎の運動痛, 偏位および咬合異常は認めなかった. また外傷等の既往もなかった. Panorama Xp, CTおよび3DCTにて左下顎頭は右下顎頭に比し肥大し, 関節円板の前内方転位および石灰化を認めた. 変形性顎関節症の診断下, 入院全麻下にて左下顎頭切...
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Veröffentlicht in: | 日本口腔科学会雑誌 2003, Vol.52 (3), p.153-153 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 今回われわれは関節円板の転位と重度の骨化のため開口障害を認めた変形性顎関節症の1症例を経験したのでその概要を報告した. 患者は61歳の女性で, 平成9年開口障害および左顎関節の疼痛を主訴に近医歯科を受診. 顎関節症の診断のもとスプリントにて加療受けるも著明な症状軽減はなく当科紹介となった. 現症として顔貌は小下顎症様で, 開口量は23mm. 顎の運動痛, 偏位および咬合異常は認めなかった. また外傷等の既往もなかった. Panorama Xp, CTおよび3DCTにて左下顎頭は右下顎頭に比し肥大し, 関節円板の前内方転位および石灰化を認めた. 変形性顎関節症の診断下, 入院全麻下にて左下顎頭切除術, 関節円板切除術, 顎間固定術を施行した. 術後病理所見にて関節円板は重度の骨化を呈し, 層板骨の構造を認めた. 術後1週間より開口訓練を開始した. 術後開口量は32mmとなり現在も開口訓練を継続し外来にて経過観察中である. 質問 愛媛大, 医, 歯口外 小屋恵理子 平成6年から9年の3年間で, 左側のみ関節円板が骨化したり, 下顎頭の肥大が生じた原因はないのか. 左側のみ症状が著明であるが, 右側にもやや変形がみられる. 回答 鳥取県立中央病院, 歯口外 田窪千子 なぜ左顎関節のみにあれほどの変性が起ったのかはわかりません. しかしながらschuller法X線写真からも右下顎頭に骨の増生(骨皮質の肥厚)を認めたので右側も変形性顎関節症であるのかもしれません. 質問 愛媛大, 医, 歯口外 石川徹 顎関節以外の足, 手の関節に症状は見られなかったでしょうか. 回答 鳥取県立中央病院, 歯口外 田窪千子 本症例ではTc等検査をしておりませんが, 患者の他関節の疼痛の訴えはなく単関節性でした. 質問 岡山大, 大学院, 歯顎口腔病態外科 佐々木朗 1. 骨頭切除に対して, 中間挿入物を考慮しませんでしたか. またその適応に関してのお考えをお聞かせ下さい. 2. 開口障害の期間が長く, また術後の開口量の改善が少ないことから側頭筋の萎縮も考えられますが, 筋突起切除等は必要無かったのでしょうか. 回答 鳥取県立中央病院, 歯口外 谷尾和彦 初診時強制開口を行った時, 側頭筋, 筋突起部の疼痛の訴えはなく, この部分の関与は否定的と考える. 質問 島根医大, 歯口外 吉村安郎 1. 中間挿入物の有効性について, どう考えておられますか. 2. 下顎枝の長さ(下顎角部から顎関節部までの距離)が処置によりかなり短かくなる場合には, 中間挿入物が必要であると考えますが, 貴科ではどう考えていますか. 回答 鳥取県立中央病院, 歯口外 谷尾和彦 中間挿入物を入れる必要はないと判断しています. |
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ISSN: | 0029-0297 |