血清中の診断マーカー探索の基礎となる再現性の高い微量タンパク質分析法の確立

血液(血清)は体内を循環しているため, 生体内の多様な情報を反映している. しかし, 疾患の診断マーカーとなるタンパク質を発見するためには, 血清中の主要タンパク質に埋もれた数μg/mL以下の微量タンパク質を比較分析する必要がある. 本研究で確立した方法は, まず, 血清中の約60%を占めるアルブミンを除去し, 限外ろ過法により脱塩・濃縮する. 次にこの試料を逆相HPLCで25分画し, 各分画物をSDS-PAGEもしくは2次元電気泳動法で分析する. この方法は, タンパク質分析の基本的な方法を組み合わせたものであるが, 各過程の最適化により, タンパク質の損失を極力抑え, かつ, 高い再現性を...

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Veröffentlicht in:生物物理化学 2009, Vol.53 (1), p.9-10
Hauptverfasser: 川島祐介, 福野智之, 佐藤守, 高橋広樹, 松井崇, 前田忠計, 小寺義男
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:血液(血清)は体内を循環しているため, 生体内の多様な情報を反映している. しかし, 疾患の診断マーカーとなるタンパク質を発見するためには, 血清中の主要タンパク質に埋もれた数μg/mL以下の微量タンパク質を比較分析する必要がある. 本研究で確立した方法は, まず, 血清中の約60%を占めるアルブミンを除去し, 限外ろ過法により脱塩・濃縮する. 次にこの試料を逆相HPLCで25分画し, 各分画物をSDS-PAGEもしくは2次元電気泳動法で分析する. この方法は, タンパク質分析の基本的な方法を組み合わせたものであるが, 各過程の最適化により, タンパク質の損失を極力抑え, かつ, 高い再現性を実現している. 血清中に数ng/mLしか存在しない微量タンパク質の比較分析だけにとどまらず, これを起点としたさらなる微量タンパク質分析を可能にする基盤的方法である. J Electrophoresis 53:13-18(2009)
ISSN:0031-9082