疼痛のみで発症した椎骨動脈解離の臨床像 ─特に瘤状変化した症例の経過について

疼痛のみで発症する椎骨動脈解離(VAD)は予後良好である.しかし,瘤状悪化するとくも膜下出血(SAH)を生じやすいとされ,治療介入の理由となる.疼痛発症VADの臨床的特徴について検討した.対象は疼痛発症VAD 112例.男性74例,女性38例.年齢は18-77歳(平均49歳).平均観察期間は38カ月.画像所見によりfusiform dilatation(FD),narrowing or occlusion(N/O),pearl and string sign(PSS)の3群に分類した.臨床経過,画像所見の変化,外科治療介入について検討した.観察期間中,2例にSAH,2例に虚血,4例に対側の解離...

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Veröffentlicht in:脳卒中の外科 2022, Vol.50(4), pp.266-273
Hauptverfasser: 原田, 洋一, 山下, 圭一, 今井, 大也, 江原, 拓郎, 鳥居, 正剛, 池上, 方基, 林, 基高, 佐藤, 栄志, 畑山, 徹, 河野, 拓司
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:疼痛のみで発症する椎骨動脈解離(VAD)は予後良好である.しかし,瘤状悪化するとくも膜下出血(SAH)を生じやすいとされ,治療介入の理由となる.疼痛発症VADの臨床的特徴について検討した.対象は疼痛発症VAD 112例.男性74例,女性38例.年齢は18-77歳(平均49歳).平均観察期間は38カ月.画像所見によりfusiform dilatation(FD),narrowing or occlusion(N/O),pearl and string sign(PSS)の3群に分類した.臨床経過,画像所見の変化,外科治療介入について検討した.観察期間中,2例にSAH,2例に虚血,4例に対側の解離が生じた.すべての症例は予後良好であった.112例は初回画像上FD 35例,N/O 31例,PSS 46例に分類された.経過中に画像上改善を示したのは69例,不変2例,悪化41例であった.瘤状悪化は17例で,1例で治療介入し残り16例を引き続き経時観察すると,改善/不変13例,閉塞1例,瘤状にさらに増大2例であった.瘤状にさらに増大した2例中1例は治療介入し,1例はその後画像上閉塞した.6例に治療介入した.内訳はSAH発症2例,解離進行1例,画像上悪化2例,瘤状に再増大1例であった.瘤状に悪化しても2週間経過後の破裂率は低く,画像上改善する例も多い.治療介入は慎重に検討すべきである.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.50.266