遅発型のPompe病を発症した小児の構音障害に対してPLPを応用した一例
Pompe病は,グリコーゲンの分解に関与する酵素の先天的な欠損や機能低下により,ライソゾーム内にグリコーゲンが蓄積する常染色体潜性(劣性)遺伝形式の先天性代謝異常である.Pompe病は,発症時期と臨床経過で分類され,出生後すぐに症状が現れる乳児型と1歳以降に発症する遅発型に分かれている.筋緊張低下を主症状とし,治療には酵素補充療法(Enzyme Replacement Therapy:ERT)が行われている.ERTで呼吸機能,心機能,運動機能は改善するが,鼻咽腔閉鎖機能不全による構音機能は改善しにくいといわれている.本症例児は,遅発型Pompe病に分類され鼻咽腔閉鎖機能不全による構音障害として...
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Veröffentlicht in: | 日本障害者歯科学会雑誌 2021/02/28, Vol.42(1), pp.60-66 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | Pompe病は,グリコーゲンの分解に関与する酵素の先天的な欠損や機能低下により,ライソゾーム内にグリコーゲンが蓄積する常染色体潜性(劣性)遺伝形式の先天性代謝異常である.Pompe病は,発症時期と臨床経過で分類され,出生後すぐに症状が現れる乳児型と1歳以降に発症する遅発型に分かれている.筋緊張低下を主症状とし,治療には酵素補充療法(Enzyme Replacement Therapy:ERT)が行われている.ERTで呼吸機能,心機能,運動機能は改善するが,鼻咽腔閉鎖機能不全による構音機能は改善しにくいといわれている.本症例児は,遅発型Pompe病に分類され鼻咽腔閉鎖機能不全による構音障害として鼻咽腔構音と声門破裂音を認めた.そのため,軟口蓋挙上装置(PLP)の製作と適用を試みた.印象採得時に問題はなかったが,PLPの装着予定日に心理的拒否や異常絞扼反射が認められた.系統的脱感作を行い,PLP装着予定日から約7カ月かけて挙上子で軟口蓋を挙上しても違和感を訴えない程度まで装着可能になった.そして,日常生活でPLPを食事以外で使用できるようになった.約2カ月後に当クリニックで構音評価を行うと,/p/音と/s/音は構音可能になり,会話明瞭度は,「4:ときどきわかる語がある」から「3:聞き手が話題を知っていればどうやらわかる」に改善していた.本症例の結果から,Pompe病の鼻咽腔閉鎖機能不全による構音障害に対してPLPは有効である可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0913-1663 2188-9708 |
DOI: | 10.14958/jjsdh.42.60 |