経粘膜ワクチンデリバリー製剤の開発の現状と今後の展望
「1. はじめに」ジェンナーによる天然痘ワクチンが開発されて以来, 感染症に対する多くのワクチンが開発されてきた. 現存のワクチンのほとんどを占める注射型のワクチンは, 全身性の免疫応答を誘導することで, 感染に伴う病原体の体内からの排除と病態の増悪化抑制はできるものの, 多くの病原体の初発感染部位である粘膜面への免疫誘導能は低いため, 病原体の侵入阻害という感染そのものの阻止という観点での防御効果は弱い. 一方で経口, 経鼻といった方法で経粘膜的にワクチンを接種する粘膜ワクチンは, 全身免疫だけでなく粘膜面にも免疫応答を誘導可能である. このように初発感染防御を担う粘膜免疫と病原体が生体内に...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 薬剤学 2016, Vol.76(1), pp.11-17 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 「1. はじめに」ジェンナーによる天然痘ワクチンが開発されて以来, 感染症に対する多くのワクチンが開発されてきた. 現存のワクチンのほとんどを占める注射型のワクチンは, 全身性の免疫応答を誘導することで, 感染に伴う病原体の体内からの排除と病態の増悪化抑制はできるものの, 多くの病原体の初発感染部位である粘膜面への免疫誘導能は低いため, 病原体の侵入阻害という感染そのものの阻止という観点での防御効果は弱い. 一方で経口, 経鼻といった方法で経粘膜的にワクチンを接種する粘膜ワクチンは, 全身免疫だけでなく粘膜面にも免疫応答を誘導可能である. このように初発感染防御を担う粘膜免疫と病原体が生体内に入った際の防御機構である全身性免疫との二段構えにより, 経口・経鼻ワクチンは, 粘膜面を介して感染するような病原体に対して絶大な効果が期待できる. また注射型ワクチンとは異なり, 非侵襲的であり, かつ医療廃棄物が少ないことから実用的な面からも利点を有するワクチンであると言える. |
---|---|
ISSN: | 0372-7629 2188-3149 |
DOI: | 10.14843/jpstj.76.11 |