放射光による原薬・製剤の物性評価

「1. はじめに」医薬品の開発において, 有効成分である原薬の固体物性は, 重要な検討項目の1つである. 原薬の結晶形が異なれば, 化学的・物理的な安定性が異なる可能性がある. また, 水や溶媒に対する溶解度, 溶解速度といった溶解性が異なり, 薬物動態プロファイルやバイオアベイラビリティが異なる可能性がある. これは, 医薬品の安定性のみならず, 薬効や毒性の発現も原薬結晶形の影響を受ける可能性があることを示唆する. 従って, 原薬の結晶形は, 医薬品の品質・有効性・安全性に影響を与える可能性がある. これらの理由から, 医薬品の開発に用いる原薬の結晶形の選定は重要項目であり, 一般的には開...

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Veröffentlicht in:薬剤学 2013, Vol.73(1), pp.4-8
1. Verfasser: 山田, 裕之
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. はじめに」医薬品の開発において, 有効成分である原薬の固体物性は, 重要な検討項目の1つである. 原薬の結晶形が異なれば, 化学的・物理的な安定性が異なる可能性がある. また, 水や溶媒に対する溶解度, 溶解速度といった溶解性が異なり, 薬物動態プロファイルやバイオアベイラビリティが異なる可能性がある. これは, 医薬品の安定性のみならず, 薬効や毒性の発現も原薬結晶形の影響を受ける可能性があることを示唆する. 従って, 原薬の結晶形は, 医薬品の品質・有効性・安全性に影響を与える可能性がある. これらの理由から, 医薬品の開発に用いる原薬の結晶形の選定は重要項目であり, 一般的には開発初期においてプレフォーミュレーション研究として実施されている. しかし, 開発形態として優れた結晶形を選択したとしても, 原薬の結晶形は製剤の製造工程において転移する可能性がある. 近年, 製剤中の原薬結晶形の重要性が認識されており, 医薬品のガイドラインにおいても, その重要性が述べられている(ICHガイドライン Q6A1)).
ISSN:0372-7629
2188-3149
DOI:10.14843/jpstj.73.4