消化器癌発生における炎症の役割

消化器領域で発生する癌の多くは,慢性炎症を背景に発生する.すなわち,持続する炎症反応が発癌において重要な役割を果たしているものと考えられる.これまで,炎症性疾患の発癌リスクに関する報告は数多くなされてきたが,近年,慢性炎症の原因となる疾患の治療や炎症反応の制御が発癌の予防につながることも疫学的なエビデンスを持って明らかにされてきている.同時に,慢性炎症による発癌の分子メカニズムの解明も徐々に進んでおり,炎症反応により正常上皮細胞にさまざまな遺伝子異常が引きおこされるとともに,周囲をとり巻く間質細胞との相互作用が腫瘍形成の支持母体となっていることもわかってきた....

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Veröffentlicht in:日本消化器病学会雑誌 2011, Vol.108(8), pp.1374-1382
Hauptverfasser: 清水, 孝洋, 丸澤, 宏之
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:消化器領域で発生する癌の多くは,慢性炎症を背景に発生する.すなわち,持続する炎症反応が発癌において重要な役割を果たしているものと考えられる.これまで,炎症性疾患の発癌リスクに関する報告は数多くなされてきたが,近年,慢性炎症の原因となる疾患の治療や炎症反応の制御が発癌の予防につながることも疫学的なエビデンスを持って明らかにされてきている.同時に,慢性炎症による発癌の分子メカニズムの解明も徐々に進んでおり,炎症反応により正常上皮細胞にさまざまな遺伝子異常が引きおこされるとともに,周囲をとり巻く間質細胞との相互作用が腫瘍形成の支持母体となっていることもわかってきた.
ISSN:0446-6586
1349-7693
DOI:10.11405/nisshoshi.108.1374