脳死小腸移植の現状と問題点

小腸移植は腸管不全に対する究極的な根治的治療法であるが,かつてその成績は不良であった.近年,免疫抑制療法の発達により,格段の成績向上がみられており,欧米では脳死ドナーからの小腸移植が重症腸管不全に対する標準的治療となりつつある.わが国の小腸移植は,いまだごく限られた施設で少数例が行われているのが現状であるが,その成績は欧米のそれに匹敵する.2010年の改正臓器移植法の実施にともない,脳死小腸移植症例に増加の兆しがみられている一方で,本邦における脳死小腸移植の普及には,移植適応の適切な評価,肝小腸移植へ向けてのシステム整備,社会保険制度の適用など,解決しなければならない問題も数多く残されている....

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Veröffentlicht in:日本消化器病学会雑誌 2011, Vol.108(5), pp.753-758
Hauptverfasser: 仁尾, 正記, 和田, 基, 佐々木, 英之, 風間, 理郎, 西, 功太郎, 福澤, 太一, 田中, 拡, 工藤, 博典, 山木, 聡史
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:小腸移植は腸管不全に対する究極的な根治的治療法であるが,かつてその成績は不良であった.近年,免疫抑制療法の発達により,格段の成績向上がみられており,欧米では脳死ドナーからの小腸移植が重症腸管不全に対する標準的治療となりつつある.わが国の小腸移植は,いまだごく限られた施設で少数例が行われているのが現状であるが,その成績は欧米のそれに匹敵する.2010年の改正臓器移植法の実施にともない,脳死小腸移植症例に増加の兆しがみられている一方で,本邦における脳死小腸移植の普及には,移植適応の適切な評価,肝小腸移植へ向けてのシステム整備,社会保険制度の適用など,解決しなければならない問題も数多く残されている.
ISSN:0446-6586
1349-7693
DOI:10.11405/nisshoshi.108.753