腸間膜線維腫症を合併した家族性大腸腺腫症の1例
今回我々は,家族性大腸腺腫症(FAP)に腹腔内腫瘍を合併した1例を経験した.この腫瘍は典型的なデスモイド腫瘍とは異なる像を呈し,線維肉腫とも組織学的に異なるため腸間膜線維腫症と診断した.本症例は以下の点で従来のデスモイド腫瘍と異なっていた. まず第一に血管造影上,血管増生が豊富であった.一般的に腸間膜デスモイド腫瘍はhypovascular tumorである.第二に肉眼像で被膜を有していた.一般的にはデスモイド腫瘍は浸潤傾向が強く境界不鮮明で被膜は形成されないと言われている.第三に病理組織学的にみて従来の典型的なデスモイド腫瘍に比べて全体的に細胞密度の高い部分が多く膠原線維の量が少ない.細胞密...
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Veröffentlicht in: | 日本消化器病学会雑誌 1999, Vol.96(7), pp.829-833 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 今回我々は,家族性大腸腺腫症(FAP)に腹腔内腫瘍を合併した1例を経験した.この腫瘍は典型的なデスモイド腫瘍とは異なる像を呈し,線維肉腫とも組織学的に異なるため腸間膜線維腫症と診断した.本症例は以下の点で従来のデスモイド腫瘍と異なっていた. まず第一に血管造影上,血管増生が豊富であった.一般的に腸間膜デスモイド腫瘍はhypovascular tumorである.第二に肉眼像で被膜を有していた.一般的にはデスモイド腫瘍は浸潤傾向が強く境界不鮮明で被膜は形成されないと言われている.第三に病理組織学的にみて従来の典型的なデスモイド腫瘍に比べて全体的に細胞密度の高い部分が多く膠原線維の量が少ない.細胞密度が高いのは線維肉腫を疑わせるが,細胞異型,核分裂像の点で明らかに線維肉腫とは異なっている.以上を総合して,本症例はデスモイド腫瘍と線維肉腫の中間的な性格を持つ腫瘍と考えられた. |
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ISSN: | 0446-6586 1349-7693 |
DOI: | 10.11405/nisshoshi1964.96.829 |