Leser-Trélat徴候を契機に発見された早期直腸癌の1例
Leser-Trelat徴候は, 脂漏性角化症様皮疹が急速に増加増大し, 多くが皮肩掻痒症を伴い, 悪性腫瘍を合併することが多く, 腫瘍随伴性皮膚病変(Paraneoplastic Dermatosis)の一つとされている. この皮膚病変は, 1890年ドイツ人外科医Edmund Leserとフランス人外科医Ulysse Trelatが, 悪性腫瘍に伴ったkeratosisの症例を報告したことに始まる1). 今回われわれは, 本徴候を契機として発見された早期直腸癌の1例を経験したので報告する. 症例:75歳, 男性. 主訴:皮膚掻痒感. 既往歴:喫煙歴なし. 20歳代喘息, 70歳時耳下腺炎,...
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Veröffentlicht in: | 日本消化器病学会雑誌 1996/11/05, Vol.93(11), pp.841-844 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | Leser-Trelat徴候は, 脂漏性角化症様皮疹が急速に増加増大し, 多くが皮肩掻痒症を伴い, 悪性腫瘍を合併することが多く, 腫瘍随伴性皮膚病変(Paraneoplastic Dermatosis)の一つとされている. この皮膚病変は, 1890年ドイツ人外科医Edmund Leserとフランス人外科医Ulysse Trelatが, 悪性腫瘍に伴ったkeratosisの症例を報告したことに始まる1). 今回われわれは, 本徴候を契機として発見された早期直腸癌の1例を経験したので報告する. 症例:75歳, 男性. 主訴:皮膚掻痒感. 既往歴:喫煙歴なし. 20歳代喘息, 70歳時耳下腺炎, 75歳時慢性副鼻腔炎. 家族歴:長男大腸癌, 次男胃癌. 現病歴:1994年11月, 腹部を中心に米粒~空豆大で, 境界明瞭な淡褐色~黒色の掻痒感を伴う丘疹を多数認め, 当院皮膚科を受診した(Figure1). 皮膚病理組織学的検査では, seborrheic keratosis, acanthotic typeと診断され, 悪性所見は認められなかった. これら皮膚病変は, その後約3ヵ月の間に数や大きさが増大, Leser-Trelat徴候と判断し, 内臓悪性腫瘍の検索を施行した. その結果, 直腸に隆起性病変を認め, 1995年3月当院外科紹介入院となった. 入院時現症:身長163cm, 体重60kg, 栄養状態良好, 貧血, 黄疸なし, 腹部は平坦で軟らかく, 腫瘤は触知せず, 表在リンパ節も触知せず. |
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ISSN: | 0446-6586 1349-7693 |
DOI: | 10.11405/nisshoshi1964.93.841 |