胆汁酸と免疫系

胆汁酸と生体防御機構である免疫系との関係はすでに約40年前より示唆されていた. 当初, 閉塞性黄疸, 原発性胆汁性肝硬変(PBC)などにおける胆汁うっ滞時, Kupper細胞をはじめとした網内系細胞の異物貧食能低下, 遅延型過敏反応の減弱, リンパ球幼若化反応の低下などが報告され, 胆汁うっ滞と免疫系細胞の機能低下の関連が示唆された1)~4). その後, 胆汁酸自体が免疫系に作用することが明らかになったが, そのメカニズムや病態との関連は不明のままであった. しかし, 近年, ウルソデオキシコール酸(UDCA)がPBCをはじめとした自己免疫性あるいは炎症性肝疾患に有効であるとの報告が相次ぎ,...

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Veröffentlicht in:日本消化器病学会雑誌 1996/10/05, Vol.93(10), pp.693-699
Hauptverfasser: 田中, 廣壽, 牧野, 勲
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:胆汁酸と生体防御機構である免疫系との関係はすでに約40年前より示唆されていた. 当初, 閉塞性黄疸, 原発性胆汁性肝硬変(PBC)などにおける胆汁うっ滞時, Kupper細胞をはじめとした網内系細胞の異物貧食能低下, 遅延型過敏反応の減弱, リンパ球幼若化反応の低下などが報告され, 胆汁うっ滞と免疫系細胞の機能低下の関連が示唆された1)~4). その後, 胆汁酸自体が免疫系に作用することが明らかになったが, そのメカニズムや病態との関連は不明のままであった. しかし, 近年, ウルソデオキシコール酸(UDCA)がPBCをはじめとした自己免疫性あるいは炎症性肝疾患に有効であるとの報告が相次ぎ, 胆汁酸と免疫系の関連はきわめて現実的かつ臨床的緊急性を有した研究領域として浮かびあがってきた. 本稿では, 胆汁酸と免疫系との関連を概説し, UDCAの免疫系への作用機構について最近の知見を紹介する. 1リンパ球機能とサイトカイン産生に対する胆汁酸の作用従来より, 胆汁うっ滞時末梢血単核球(peripheral blood mononuclear cell:PBMC)の各種マイトーゲンに対する芽球化反応が低下することが知られていた5)6).
ISSN:0446-6586
1349-7693
DOI:10.11405/nisshoshi1964.93.693