ヘリコバクター・ピロリ感染と特発性血小板減少性紫斑病の関連
特発性血小板減少性紫斑病 (にTP) 治療に関する最近のトピックスとしては, 新規薬剤による免疫抑制療法の他に, Helicobacter pylori (H. pylon) 除菌治療が挙げられる. これまでの多施設からの報告を参考にすると, 本邦のH. pylori陽性ITP患者の約半数で, 除菌治療後速やかに有意の血小板増加が認められ, 血液学的寛解状態となることが判明した. 最長観察でもまだ8年であるが, この血小板増加効果は長期間持続することより, 本邦のH. pylori陽性ITP患者の約半数はその血小板減少を来す病態にH. pylori感染が関わっていたことが明らかとなった. 少な...
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Veröffentlicht in: | 日本細菌学雑誌 2006/11/25, Vol.61(4), pp.381-389 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 特発性血小板減少性紫斑病 (にTP) 治療に関する最近のトピックスとしては, 新規薬剤による免疫抑制療法の他に, Helicobacter pylori (H. pylon) 除菌治療が挙げられる. これまでの多施設からの報告を参考にすると, 本邦のH. pylori陽性ITP患者の約半数で, 除菌治療後速やかに有意の血小板増加が認められ, 血液学的寛解状態となることが判明した. 最長観察でもまだ8年であるが, この血小板増加効果は長期間持続することより, 本邦のH. pylori陽性ITP患者の約半数はその血小板減少を来す病態にH. pylori感染が関わっていたことが明らかとなった. 少なくても現時点では以H. pylori除菌治療は, その有効性・安全性・即効性・経済性から, これまでの標準的治療である副腎皮質ステロイドに代わり, H. pylori陽性ITP患者治療の第一選択薬と言って良い. H. pylori感染と自己免疫疾患であるlTP発症との詳細な因果関係は解明されていないが, H. pylori感染により惹起される全身性免疫反応が, 血小板破壊に繋がっているとする報告が多い. 今後は, 除菌効果を事前に予測できる患者側及び菌体側因子を抽出し, H. pylori-related thrombocytopenic purpura を独立した疾患として確立する必要がある. また, 除菌治療終了患者をできるだけ長期間フォローアップし, H. pylori再感染の有無やQOLの向上に果たす役割を確認する必要があ. |
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ISSN: | 0021-4930 1882-4110 |
DOI: | 10.3412/jsb.61.381 |