O-1452 ジェノゲスト投与による子宮腔内病変の変化

ジェノゲストは, 経口投与が可能な新しいプロゲスチンである. プロゲステロン受容体への選択性が高く, プロゲステロン受容体活性化作用とプロゲステロン作用の他に卵巣機能抑制作用と子宮内膜と子宮内膜症への直接作用がある. 今回, この子宮内膜に直接作用する増殖抑制作用と炎症抑制作用を利用して, 子宮腔内病変である子宮内膜ポリープや粘膜下筋腫の術前にジェノゲストの投与を行いその有用性を検討した. 対象は, 粘膜下筋腫あるいは子宮内膜ポリープと診断し, 子宮鏡下手術を予定した粘膜下筋腫の7症例と子宮内膜ポリープ4症例である. ジェノゲスト術前投与は全ての患者にインフォームドコンセントを行い, 同意を得...

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Veröffentlicht in:日本産科婦人科内視鏡学会雑誌 2010, Vol.26 (1), p.197-197
Hauptverfasser: 齊藤寿一郎, 森川香子, 西ヶ谷順子, 和田康菜, 田中宏明, 名古崇史, 西島千絵, 笹尾麻紀, 飯田智博, 石塚文平
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:ジェノゲストは, 経口投与が可能な新しいプロゲスチンである. プロゲステロン受容体への選択性が高く, プロゲステロン受容体活性化作用とプロゲステロン作用の他に卵巣機能抑制作用と子宮内膜と子宮内膜症への直接作用がある. 今回, この子宮内膜に直接作用する増殖抑制作用と炎症抑制作用を利用して, 子宮腔内病変である子宮内膜ポリープや粘膜下筋腫の術前にジェノゲストの投与を行いその有用性を検討した. 対象は, 粘膜下筋腫あるいは子宮内膜ポリープと診断し, 子宮鏡下手術を予定した粘膜下筋腫の7症例と子宮内膜ポリープ4症例である. ジェノゲスト術前投与は全ての患者にインフォームドコンセントを行い, 同意を得て実施した. ジェノゲストの術前投与期間は7~21日間であった. それぞれの症例の手術日は, 月経開始から9~25日目であった. 月経開始から多くの日数が経過しているにもかかわらず, 粘膜下筋腫, 子宮内膜ポリープ症例とも子宮内膜の肥厚はなく増殖抑制作用を認め菲薄していた. 子宮内膜は血管径が細く乳白色を呈していた. また, 病変部と正常子宮内膜の境界は明瞭であった. ジェノゲストの術前投与は, 子宮内膜の増殖抑制作用によって充分な子宮内腔が確保された. 病変部分と正常子宮内膜の境界が明瞭なため, 切除部位がはっきりと区別され, 手術操作を迅速にスムースに行うことと正常子宮筋層へのダメージを少なくできた. 正常子宮筋層の損傷を少なくすることで術中出血量も減少できる. また, 子宮内膜増殖抑制作用は手術時期のコントロールにも威力を発揮して月経周期による手術日程の変更を減らして効率的な手術日程の作成が期待できる. 今後, 粘膜下筋腫と子宮内膜ポリープを対象とした子宮鏡下手術において, 術前準備の一つとして不可欠になると考える.
ISSN:1884-9938