O-1276 深部子宮内膜症のダグラス窩病変における腹腔鏡手術の工夫について~卵巣つり上げ法について
【緒言】子宮内膜症手術, 特に深部子宮内膜症に対する手術に際しては, 癒着剥離による尿管, 直腸などの他臓器損傷のリスクがある. それを回避するためには高い技術が必要となるが, まずは良好な視野を得ることが大前提といえる. 卵巣子宮内膜症性嚢胞がある場合, それがダグラス窩病変の手術の際に視野の妨げになり手術操作が困難になることがある. その際当院においては卵巣を吊り上げることで手術視野を確保している. 他院での報告もあるが, 当院でも以前は直針を用いて, 腹壁からアプローチし卵巣を吊り上げる方法を行ってきた. しかし, 直針は長針でコントロールに技術を要し, また尾側(糸付着部)も比較的鋭に...
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Veröffentlicht in: | 日本産科婦人科内視鏡学会雑誌 2010, Vol.26 (1), p.129-129 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【緒言】子宮内膜症手術, 特に深部子宮内膜症に対する手術に際しては, 癒着剥離による尿管, 直腸などの他臓器損傷のリスクがある. それを回避するためには高い技術が必要となるが, まずは良好な視野を得ることが大前提といえる. 卵巣子宮内膜症性嚢胞がある場合, それがダグラス窩病変の手術の際に視野の妨げになり手術操作が困難になることがある. その際当院においては卵巣を吊り上げることで手術視野を確保している. 他院での報告もあるが, 当院でも以前は直針を用いて, 腹壁からアプローチし卵巣を吊り上げる方法を行ってきた. しかし, 直針は長針でコントロールに技術を要し, また尾側(糸付着部)も比較的鋭になっており, それ自体が他の組織を傷つけるリスクがある. 今回新たな工夫として, 操作ポート脇に卵巣吊り上げ糸を出して手術視野を確保する方法を考案したので報告する. 【対象と方法】症例は, 2009年11月から2010年3月までの8症例. どれも片側または両側の卵巣子宮内膜症性嚢胞を合併し, 当科にて腹腔鏡下卵巣嚢胞摘出術と子宮内膜症病巣除去術を施行した. 手術手技であるが, 卵巣子宮内膜症性嚢胞をまず摘出した上で, 1-0バイクリルを用いて卵巣に糸を通し, 左右の上前腸骨棘内側の操作ポート脇より糸を出して卵巣を吊り上げた. 【結果】術者の感想となってしまうが, 直針の場合よりストレスなく簡単に吊り上げ操作ができた. 吊り上げ糸はポート脇より出しており, 鉗子操作の邪魔になることはほとんどなかった. 良好な手術視野でのダグラス窩手術を行うことができた. 【結論】直針を腹腔内で操作する技術, ストレス, 他臓器損傷のリスクと比較して, 操作ポートを利用した今回の卵巣吊り上げ法は, より簡単でストレスが少なく施行できる方法と思われた. 深部子宮内膜症におけるダグラス窩手術では, 特に良好な視野確保が大前提であるため, 今回の方法は有用な補助操作の一つと考えられた. |
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ISSN: | 1884-9938 |