腹腔鏡手術後に腕神経叢障害を合併した1例

婦人科腹腔鏡手術では視野の確保のため, 頭低位にすることが多く, そのために肩への圧迫が起きやすく, 腕神経叢障害の原因となることがある. 今回全身麻酔下腹腔鏡下付属器切除術における頭低位, 腕外転後に発生した左正中神経障害と思われる症例を経験したので報告する. 症例は34歳, 身長156cm体重46kg既往歴, 特記すべきことなし. 月経困難症にて外来受診, 約10cmの右のチョコレート嚢腫を認め, 挙児希望はなく, 腹腔鏡付属器切除術を施行した. (r-ASRM 20)麻酔はプロポフォール200mgで導入, 気管内挿晶出, 酸素, 笑気, セボフランで維持, ベクロニウム計7mgを投与した...

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Hauptverfasser: 山田祐士, 柏崎香織, 柏崎操, 柏崎研
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:婦人科腹腔鏡手術では視野の確保のため, 頭低位にすることが多く, そのために肩への圧迫が起きやすく, 腕神経叢障害の原因となることがある. 今回全身麻酔下腹腔鏡下付属器切除術における頭低位, 腕外転後に発生した左正中神経障害と思われる症例を経験したので報告する. 症例は34歳, 身長156cm体重46kg既往歴, 特記すべきことなし. 月経困難症にて外来受診, 約10cmの右のチョコレート嚢腫を認め, 挙児希望はなく, 腹腔鏡付属器切除術を施行した. (r-ASRM 20)麻酔はプロポフォール200mgで導入, 気管内挿晶出, 酸素, 笑気, セボフランで維持, ベクロニウム計7mgを投与した. 出血量は少量手術時間は2時間9分目麻酔時間は2時間49分であった. 手術時体位は頭低位, 両側上腕は体側より80度外転, 肘関節は伸展, 肩支持器は使用していなかった. 術後, 覚醒直後より. 左上腕, 前腕の椀側半分のしびれと知覚鈍麻, 腕の挙上が困難となった. 明らかな筋力低下はなく, 整形外科より左の正中神経を中心とした腕神経叢障害にと診断された. 術後3日目に退院, ビタミンB12の投与とリハビリ通院を連日行い, 術後1ヶ月後の時点では運動障害は回復, しびれは残っているが, 徐々に回復している. 腹腔鏡手術での腕神経叢障害は約0.16%との報告がある, 腹腔鏡手術では, 腹腔鏡内圧の上昇に加え, 特に婦人科手術では視野の確保のため, 頭低位にすることが多く, そのために肩への圧迫が起きやすい. また肘関節の伸展も腕神経叢の圧迫が生じやすい. 予防策としては肩へ圧迫を軽減のため, 肩マットレスの使用, 上肢はできるだけ体側につけ, 肘関節は軽く屈曲させる必要がある.
ISSN:1884-9938