開腹子宮筋腫核出術術後のEarly Second Look Laparoscopyの意義

開腹手術術後に生じる生殖臓器の癒着は卵管の機能を障害して不妊症を引き起こす可能性があり, 術後癒着の防止は不妊症の発生を防ぐ上で不可欠な課題と考えられる. 近年内視鏡の進歩により腹腔鏡下の筋腫核出術は一般的に行われるようになったものの, その手術手技は熟練を要することには変わりはない. 今回我々は開腹子宮筋腫核出術後に術後早期腹腔鏡(Early Second Look Laparoscopy:以後ESLL)を施行し, 術後の癒着について評価するとともに, より容易な手技で生じた癒着の剥離を行いその意義について検討した. 東京医科歯科大学附属病院周産女性診療科にて子宮筋腫核出術を施行した57例を...

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Hauptverfasser: 原田竜也, 清水康史, 堀出由里, 内田裕子, 渡邉亜紀, 阿部孝彦, 古賀祐子, 松原健二, 小坂元宏, 寺内公一, 谷口義実, 尾林聡, 己斐秀樹, 多田雅人, 坂本秀一, 久保田俊郎, 麻生武志
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:開腹手術術後に生じる生殖臓器の癒着は卵管の機能を障害して不妊症を引き起こす可能性があり, 術後癒着の防止は不妊症の発生を防ぐ上で不可欠な課題と考えられる. 近年内視鏡の進歩により腹腔鏡下の筋腫核出術は一般的に行われるようになったものの, その手術手技は熟練を要することには変わりはない. 今回我々は開腹子宮筋腫核出術後に術後早期腹腔鏡(Early Second Look Laparoscopy:以後ESLL)を施行し, 術後の癒着について評価するとともに, より容易な手技で生じた癒着の剥離を行いその意義について検討した. 東京医科歯科大学附属病院周産女性診療科にて子宮筋腫核出術を施行した57例を対象とした. 術後714日目にESLLを行い, 術後に生じた癒着の頻度およびAmerican Fertility Society Classification of Adnexal Adhesionsにより評価した. 術後何らかの癒着を生じた症例は68.4%(57例中39例)あり, そのうち癒着が容易に剥離可能であったのは34例であり59.6%の症例に有用と考えられたが, 5例は癒着剥離が不可能であった. 2)子宮筋腫核出術のみを行った40例については子宮壁に42.5%(17例), 付属器周囲に40.0%(16例)の癒着を生じており, 付属器への癒着は子宮筋腫核出術+卵巣嚢腫核出術を行った症例と比較してもその頻度もAmerican Fertility Society Classification of Adnexal Adhesionsにおいても同等の癒着を生じた. 3)子宮内膜症を合併した例では付属器周囲の癒着頻度が55.0%(20例中11例)であり, 子宮内膜症の合併していない例の32.4%(37例中12例)と比較して高くなる傾向がみられた. 術後の付属器周囲の癒着は高頻度に認められており, 開腹による子宮筋腫核出術では術後卵管周囲癒着などによる不妊症を引き起こす可能性が示唆された. またESLLは子宮筋腫核出術後に生じた癒着を容易に剥離可能であり有用と考えられたが, その後の再癒着の可能性も否定できなかった.
ISSN:1884-9938