透熱灸刺激によるヒト皮膚C線維侵害受容器(CMH)の発射活動と同刺激前後における熱刺激, 定圧機械刺激に対する応答性について
透熱灸は皮膚に火傷を引き起こす強い侵害熱刺激であって, 局所に組織損傷を作る反面, 生体の防御機転を賦活するような有利な効果を持つとされている. このうち透熱灸の温度特性についてはいくつかの報告がなされてはいるが, そうした侵害温度の熱刺激を行ったときのヒト皮膚侵害受容器の活動, 及び施灸後に起こる皮膚知覚の変化についてはあまり検討がなされていない. 今回, ヒト皮膚侵害受容器の活動とヒトの痛覚機構との関係を研究する目的から, 透熱灸を行ったときのヒト皮膚C線維機械熱侵害受容器(CMH)の活動を導出して, 透熱灸の刺激及びその前後におけるCMHの機械刺激及び熱刺激に対する反応について検討を行っ...
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Veröffentlicht in: | PAIN RESEARCH 1996, Vol.11 (3), p.239-239 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 透熱灸は皮膚に火傷を引き起こす強い侵害熱刺激であって, 局所に組織損傷を作る反面, 生体の防御機転を賦活するような有利な効果を持つとされている. このうち透熱灸の温度特性についてはいくつかの報告がなされてはいるが, そうした侵害温度の熱刺激を行ったときのヒト皮膚侵害受容器の活動, 及び施灸後に起こる皮膚知覚の変化についてはあまり検討がなされていない. 今回, ヒト皮膚侵害受容器の活動とヒトの痛覚機構との関係を研究する目的から, 透熱灸を行ったときのヒト皮膚C線維機械熱侵害受容器(CMH)の活動を導出して, 透熱灸の刺激及びその前後におけるCMHの機械刺激及び熱刺激に対する反応について検討を行った. 方法:対象被検者より事前にインフォームドコンセントを得てから実験を行った. 皮膚のCMHの活動は健康成人の腓骨神経よりマイクロニューログラフィー法によって導出し, その受容野から3-4mm離れた機械刺激に反応性を有する別ポイントの受容野へ透熱灸(艾平均重量1.7mg)を3回反復して行い, そのときのCMHの発射活動とその前後における熱刺激と機械刺激に対する反応性を検討した. このうち熱刺激は幅射型熱刺激装置を用い, 機械刺激はフィードバック・コントロールによる定圧刺激装置によって行った. また被検者の各刺激に対する主観的感覚強度は電動型VASによって表現させた. 結果・考察:受容野近傍部別ポイントへの透熱灸刺激によって, 表面皮膚温のピーク温度は60-70℃にも達し, このときのCMHの反射周波数は50Hz以上の高頻度の発射を示した. また刺激の反復によって発射活動のdesensitizationを示し, 灸刺激による熱痛感覚もおおむね減弱するのが観察された. 一方, 透熱灸刺激後におけるCMHの熱, 機械刺激に対する発射活動では, 熱刺激に対してはCMHの反応性がsensitizeされ, 被検者の熱痛感覚強度もhyperalgesiaになるのが観察された. これに対して点状の定圧刺激に対する反応性では, 機械刺激に対するhyperalgesiaを認めるにも関わらず, CMHのsensitizationは観察されなかった. 以上の結果は透熱灸による火傷部近傍部の第一次痛覚過敏領域でのhyperalgesiaの発現機序において, 熱刺激おいてはCMHのsensitizationによるが, 機械刺激に対するhyperalgesiaはsilent nociceptorsの動員あるいは中枢でのsensitizationに起因すると考えられた. |
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ISSN: | 0915-8588 |