運動失調の機能障害評価票作成について
「目的」我々は, 臨床の場で特別な器具を用いずに検査可能な, 運動失調の評価票の作成と標準化を目的として本研究を計画した. 昨年度に引き続き, 今回は症例を増やした上で, さらに信頼性・妥当性検討の一部を行ったので報告する. 「対象」評価票は上肢, 下肢および体幹に関するテストバッテリーがあり, 11の大項目からなる. 運動失調を有する患者88例を対象として評価を行った. 対象の内訳は脊髄小脳変性症42例, 小脳・脳幹部の出血・梗塞・腫瘍27例, ウェルニケ脳症4例, その他15例, 平均年齢53.5±14.7歳, 男女比53:35. 「方法」(1)15例で, 4週間以内に2人の検者による再評...
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Format: | Tagungsbericht |
Sprache: | jpn |
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Zusammenfassung: | 「目的」我々は, 臨床の場で特別な器具を用いずに検査可能な, 運動失調の評価票の作成と標準化を目的として本研究を計画した. 昨年度に引き続き, 今回は症例を増やした上で, さらに信頼性・妥当性検討の一部を行ったので報告する. 「対象」評価票は上肢, 下肢および体幹に関するテストバッテリーがあり, 11の大項目からなる. 運動失調を有する患者88例を対象として評価を行った. 対象の内訳は脊髄小脳変性症42例, 小脳・脳幹部の出血・梗塞・腫瘍27例, ウェルニケ脳症4例, その他15例, 平均年齢53.5±14.7歳, 男女比53:35. 「方法」(1)15例で, 4週間以内に2人の検者による再評価を行い, 検者間信頼性をカッパ統計量(weighted χ)で検討した. (2)尺度の内的一貫性を示す指標であるクロンバッハαを計算した. (3)上肢項目の基準関連妥当性を検討するため, 58例で点打ちテストと線引きテストを行い, Spearmanの順位相関係数を求めた. (4)因子分析を行い構成概念妥当性を検討した. 「結果・考察」検者信頼性について, weighted κ値は0.30~0.94であった. クロンバッハαは0.7201~0.9757であった. 指鼻試験-点打ちテストでは1%水準で有意, 指指なぞり試験-線引きテストでは5%水準で有意な相関を認めた. 因子分析により, 8つの因子が抽出された. 下肢偏倚試験, 踵膝試験, 踵脛なぞり試験, 体幹前屈では因子的独立性を認めた. 以上より今回検討を行った範囲で, 評価票は実用に耐えうる妥当性を有しているものと考える. |
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ISSN: | 0034-351X |