脊髄損傷患者における虚血性心疾患の発生状況

脊髄損傷患者(以下脊損)の寿命は1940年以前は比較的短命とされていたが, 現在平均余命が30年を越えるにいたった. しかし, 一方で, 近年の高齢化のため, 心血管死が死因の主因となりつつあることが欧米より報告されている. 心血管死の多くは虚血性心疾患(IHD)であり, 1989年Yekutielらは脊損においてIHDの羅患率が16.9%に及ぶものであると述べ1), 他の報告もおおよそ同様の数値となっている. 1992年, Walkerが心臓ペーシング負荷心筋シンチにて初めて四肢麻痺患者における無症候性心筋虚血(SMI)を診断した2). また, Baumanらは脊損19例に対するアームエルゴ...

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Veröffentlicht in:リハビリテーション医学 1998-04, Vol.35 (4), p.212-215
1. Verfasser: 水口正人
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:脊髄損傷患者(以下脊損)の寿命は1940年以前は比較的短命とされていたが, 現在平均余命が30年を越えるにいたった. しかし, 一方で, 近年の高齢化のため, 心血管死が死因の主因となりつつあることが欧米より報告されている. 心血管死の多くは虚血性心疾患(IHD)であり, 1989年Yekutielらは脊損においてIHDの羅患率が16.9%に及ぶものであると述べ1), 他の報告もおおよそ同様の数値となっている. 1992年, Walkerが心臓ペーシング負荷心筋シンチにて初めて四肢麻痺患者における無症候性心筋虚血(SMI)を診断した2). また, Baumanらは脊損19例に対するアームエルゴメーター負荷心筋シンチにより63%もの無症候性心筋虚血者を検出したと報告し3), 欧米では脊損におけるIHD発生状況の解明がなされつつある. これに対し, 現在, わが国の脊損患者におけるIHD発生状況の報告は少なく, 現況が不明である. このような状況をふまえ, まず当院におけるIHD発生状況の検討を行った.
ISSN:0034-351X