受傷機転からみた大腿骨頸部骨折の予防方法

大腿骨頸部骨折は高齢者に多い骨折であり, 今後ますます増加が予想される. しかし, その予防方法に関する報告はほとんどみられない. 今回, われわれは転倒時の状況を分析し, 予防方法を検討した. 【調査対象】平成元年1月~平成5年12月の5年間に当院で加療した, 大腿骨頸部骨折例99例で, 内訳は男性23例, 女性74例. 平均年齢は76歳であった. 【調査方法】受傷患者および家族に詳細な問診を行い, 転倒状況を分析, 検討した. 【結果】転倒場所では, 58例59%が屋内転倒であり, 中でもトイレへの移動に関するものが20例(屋内転倒の1/3)を占めていた. また, 屋内転倒の13例22%は...

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Veröffentlicht in:リハビリテーション医学 1994, Vol.31 (11), p.829-829
Hauptverfasser: 小野沢敏弘, 井上謙一, 富田篤実, 竹光正和, 進藤和行
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:大腿骨頸部骨折は高齢者に多い骨折であり, 今後ますます増加が予想される. しかし, その予防方法に関する報告はほとんどみられない. 今回, われわれは転倒時の状況を分析し, 予防方法を検討した. 【調査対象】平成元年1月~平成5年12月の5年間に当院で加療した, 大腿骨頸部骨折例99例で, 内訳は男性23例, 女性74例. 平均年齢は76歳であった. 【調査方法】受傷患者および家族に詳細な問診を行い, 転倒状況を分析, 検討した. 【結果】転倒場所では, 58例59%が屋内転倒であり, 中でもトイレへの移動に関するものが20例(屋内転倒の1/3)を占めていた. また, 屋内転倒の13例22%は夜間, 早朝の転倒で, このうち11例は病院, 施設内での転倒であった. 月別受傷者数では, 春と, 秋から初冬にかけて増加する傾向がみられた. 受傷機転で多かったのは, 段差につまずく20例, トイレ移動時の転倒20例, 冬期に滑って16例であった. この他, 動作を急がされてが8例, 椅子, 足台からの転落8例, 自転車での転倒が8例, 普段使用していた杖を使わずに転倒したものが5例, 眩暈がして4例などの理由があった. 【考察と結論】以上の結果より, 転倒予防について, (1)高齢者慢性疾患の予防と加療, (2)生活環境の整備, (3)個人および周囲の注意, 思いやりの3つの面より対策を示した.
ISSN:0034-351X