脳卒中患者の筋トーヌスの検討
上肢のROM制限は脳卒中患者にとって極めて重要な障害の1つである. その原因についての研究は上肢では少ない. 今回, われわれは発症後3カ月以上経過した当リハビリテーションセンター入院中または外来通院中の脳卒中片麻痺患者28例(男性17例・女性11例, 平均年齢64.2歳)を対象とし, 臨床的診察・頭部CT・H波頻度抑制曲線・他動的上肢屈伸時の筋電図を用いて, 1)どのような異常筋緊張がROM制限をきたしやすいのか, 2)CTの病変部位との関係はどうか, また, 3)健側上肢も異常筋緊張が存在するのか否かについて検討を加え, 以下の結果を得た. (1)ROM制限は28例中8例にみられ, うち7...
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Zusammenfassung: | 上肢のROM制限は脳卒中患者にとって極めて重要な障害の1つである. その原因についての研究は上肢では少ない. 今回, われわれは発症後3カ月以上経過した当リハビリテーションセンター入院中または外来通院中の脳卒中片麻痺患者28例(男性17例・女性11例, 平均年齢64.2歳)を対象とし, 臨床的診察・頭部CT・H波頻度抑制曲線・他動的上肢屈伸時の筋電図を用いて, 1)どのような異常筋緊張がROM制限をきたしやすいのか, 2)CTの病変部位との関係はどうか, また, 3)健側上肢も異常筋緊張が存在するのか否かについて検討を加え, 以下の結果を得た. (1)ROM制限は28例中8例にみられ, うち7例が臨床的にも電気生理学的にも固痙縮を示した. (2)また, ROM制限が認められた8例は, Stage I~IIIが6例・Stage IVが1例とlow stageのものが多かった. (3)low stageで固痙縮の筋緊張を示す症例では, 早期からROM制限に注意が必要である. (4)下肢については病変部位・筋トーヌス・足部変形についての今村らの報告があるが, 上肢については, その報告はない. 今回われわれが調べた範囲ではCT上の病変部位は, H波頻度抑制曲線や臨床的診察での筋トーヌスの結果とに有意な関係はみられなかった. (5)また, 健側上肢のH波誘発は18例中16例(88.9%)が誘発不能で, H波でみるかぎり従来からいわれている非交叉性皮質脊髄路の障害の存在は認められなかった. <質疑応答> 正門由久(国療村山病院):(1)H波頻度抑制曲線は脳卒中の何をみるために使ったのですか. (2)なぜ痙縮では低頻度で, 固縮では高頻度で抑制がなくなるのですか. (3)H波頻度抑制曲線でどういう病態をみているのですか. 古澤一成:(1)脳卒中片麻痺患者で, 拘縮を起こしやすい者を早期から判定する1つの手段としてH波頻度抑制曲線を用いた. 頸部の病変も影響を与えるので, 頸部に病変のない患者を対象として調べた. その結果, Br. stageがlow stageで固痙縮の型を示す者に拘縮が多かった. (2)γ線維ヘの持続的刺激の関与など, 細かなメカニズムがありますが, この場では, 時間の関係上, 省略させていただきます. |
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ISSN: | 0034-351X |