出血性脳梗塞患者の臨床的特徴とリハビリテーション
【目的】脳梗塞の早期リハビリテーションに対する出血性脳梗塞の影響を検討するために, 過去11年間に経験した出血性脳梗塞患者24例の臨床像, リハビリテーションによる効果ならびに予後について検討した. 【対象・方法】脳梗塞患者1324例中, 出血性脳梗塞群(HI)24例(脳血栓12例, 脳塞栓12例)で, 性, 年齢, 疾病をマッチさせた対照群24例である. 出血性脳梗塞の診断は, 画像診断, 臨床症状, 一部剖検所見などを総合して行った. リハビリテーションによる効果は, 入院時と退院時の日常生活動作(ADL)および片麻痺機能テスト(Brunnstom stage)の経過を検討した. 【結果】...
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Zusammenfassung: | 【目的】脳梗塞の早期リハビリテーションに対する出血性脳梗塞の影響を検討するために, 過去11年間に経験した出血性脳梗塞患者24例の臨床像, リハビリテーションによる効果ならびに予後について検討した. 【対象・方法】脳梗塞患者1324例中, 出血性脳梗塞群(HI)24例(脳血栓12例, 脳塞栓12例)で, 性, 年齢, 疾病をマッチさせた対照群24例である. 出血性脳梗塞の診断は, 画像診断, 臨床症状, 一部剖検所見などを総合して行った. リハビリテーションによる効果は, 入院時と退院時の日常生活動作(ADL)および片麻痺機能テスト(Brunnstom stage)の経過を検討した. 【結果】1)出血性脳梗塞は主に急性期から亜急性期に出現した. 2)危険因子の検討では, HIで, 動脈硬化指数(AI)が低く, 心弁膜症が多くみられた. 3)頭部CT上, 中大脳動脈領域(MCA)では, 病巣の大きい症例ほど発症時のADLなどが両群とも悪い傾向にあった. HIでは, mass effectを伴う症例で生命予後が悪かった. 4)リハビリテーション開始病日は, MCAの病巣の大きい症例ではHIがやや遅かった. 病巣の小さい症例では, 両群とも, 来院が遅かった. 5)急性期のHIでは5例が死亡した. 他の症例では, リハビリテーション開始の時期とは関係なく, 対照群と同様にADLなどは改善した. 【結語】脳梗塞の早期リハビリテーションに際し, 出血性脳梗塞の出現に留意する必要がある. <質疑応答> 西村崇:(1)急性期に頭部CTスキャンを頻回(1週目は毎日)に施行したため, 脳血栓症での発見数が多くなった. また, HIの発生機序として側副血行が関与していることもあるので, 血栓症でもHIが数多く起こると考えられる. (2)急性期死亡がHIでは多く14例中6例であった. HI発症が急性期の症例と亜急性期以後とのADL経過の比較は行っているが, 死亡数が多く, 症例数も少ないこともあって, はっきりした差異については述べられない. |
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ISSN: | 0034-351X |