13.横隔神経麻痺の電気診断学

42歳, 女性. 胸郭出口症候群の診断で, 鎖骨上アプローチで4週の間隔で左右の第1肋骨を切除したが, 術後, 呼吸不全に陥った. 最初の左肋骨切除術後の胸部X線で, 左横隔膜の挙上が認められていたが, 臨床的に呼吸障害は出現しなかった. 第1肋骨切除術中における医原性, 外傷性の両側性横隔神経麻痺が考えられた. この症例の横隔神経誘発電位を経時的に記録した. 輪状軟骨の高さで, 胸鎖乳突筋後縁から, 針電極を前斜両筋の前方に挿入し, 横隔神経を刺激した. 記録電極は, 探査電極を剣状突起に, 基準電極を刺激側の第7肋間, 骨軟骨移行部に設置した. 横隔神経誘発電位を記録するこの誘導法は, 従...

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Veröffentlicht in:リハビリテーション医学 1986-11, Vol.23 (6), p.329-329
Hauptverfasser: 栢森良二, 折居和夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:42歳, 女性. 胸郭出口症候群の診断で, 鎖骨上アプローチで4週の間隔で左右の第1肋骨を切除したが, 術後, 呼吸不全に陥った. 最初の左肋骨切除術後の胸部X線で, 左横隔膜の挙上が認められていたが, 臨床的に呼吸障害は出現しなかった. 第1肋骨切除術中における医原性, 外傷性の両側性横隔神経麻痺が考えられた. この症例の横隔神経誘発電位を経時的に記録した. 輪状軟骨の高さで, 胸鎖乳突筋後縁から, 針電極を前斜両筋の前方に挿入し, 横隔神経を刺激した. 記録電極は, 探査電極を剣状突起に, 基準電極を刺激側の第7肋間, 骨軟骨移行部に設置した. 横隔神経誘発電位を記録するこの誘導法は, 従来の近傍電位を記録する双極誘導法と異なって, 探査電極からは陰性の遠隔電場電位が, 基準電極からは陽性の遠隔電場電位が記録され, 振幅加算によって, 明確な誘発反応が導出されると思われる. この誘発電位の潜時および振幅は, 横隔神経および横隔膜機能の質的, 量的評価に有用な指標になり得る.
ISSN:0034-351X