肺塞栓摘除術の麻酔経験 肺塞栓, 人工心肺, PCPS

肺塞栓症に対して肺塞栓摘除術の緊急麻酔を6症例に対してのべ7回経験したので報告する. (症例1)31歳男性, 3日前より息切れ胸痛, 咳が見られた. 近医にてCT施行されたところCT上両側肺動脈に血栓認めたため当院へ救急搬送された. 導入時フェンタニル250mgプロポフォール150mg投与したところ血圧低下, 徐脈を来たしたためにエフェドリン32mg投与したが反応無く, ボスミン0.2mg使用して血圧が一旦戻るも, 再度低下, ボスミン0.8mg使用したところ心室頻拍出現した. リドカイン40mg投与にて洞調律に復帰するも血圧は30~80mmHgと不安定であった. 人工心肺導入後左肺動脈主幹部...

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Veröffentlicht in:蘇生 2002, Vol.21 (3), p.218-218
Hauptverfasser: 田中孝憲, 清成宜人, 尾原秀史
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:肺塞栓症に対して肺塞栓摘除術の緊急麻酔を6症例に対してのべ7回経験したので報告する. (症例1)31歳男性, 3日前より息切れ胸痛, 咳が見られた. 近医にてCT施行されたところCT上両側肺動脈に血栓認めたため当院へ救急搬送された. 導入時フェンタニル250mgプロポフォール150mg投与したところ血圧低下, 徐脈を来たしたためにエフェドリン32mg投与したが反応無く, ボスミン0.2mg使用して血圧が一旦戻るも, 再度低下, ボスミン0.8mg使用したところ心室頻拍出現した. リドカイン40mg投与にて洞調律に復帰するも血圧は30~80mmHgと不安定であった. 人工心肺導入後左肺動脈主幹部に長細い血栓が見られた. 人工心肺離脱後PCPS補助下で止血処置された. 出血量1110ml, 麻酔時間は7時間10分であった. (症例1の2)症例1の男性が術後ICUにてPCPS装着されたまま管理されていたが, 術後5日目になって肺動脈圧が90台まで上昇したため, CT施行されたところ右肺動脈主幹部に塞栓が認められたために緊急手術となった. ミダゾラム, フェンタニルにて導入. 人工心肺導入後, 右肺動脈主幹部に血栓がありこれを摘除した. 離脱は容易であったその後肺動脈圧は著明に低下した. 患者は順調に経過しICUより一般病棟に転棟できた. (症例2)30歳女性, 帝王切開にて出産した翌日, 突然意識消失した. 30分後に意識回復したが呼吸困難, チアノーゼが著明であった. 肺血管造影したところ肺塞栓症と診断され緊急手術となった. 麻酔導入時にショック状態となったためにPCPSを開始したが十分な流量が得らなかった. 心室細動を来たしたために心肺蘇生行ないながら人工心肺導入を行なったが, 体外循環回路内まで血栓が迷入しリザーバーフィルターの目詰まりした. 患者は救命の甲斐なく翌日死亡した. 急性肺梗塞は重症例が多く麻酔管理は困難である. 今回は我々の経験した症例に考察を加えて報告する.
ISSN:0288-4348