肺機能の蘇生と再生に挑戦する

ARDSあるいはacute lung injuryに対して, 肺の過伸展を避け, 適切なPEEPを用いる換気設定(open lung approach)や, 低い換気量を採用することが予後を改善し, 肺損傷を防止する上で有効である. 一方, ガス結合能を有するperfluorocarbon(Perflubron:PFOB)を, 気道内に満たしておいてから陽圧換気を行うpartial liqued ventilation(PLV)も虚脱肺胞を効率的にリクルートメントし, ガス交換能を改善する. 我々は, PFOBの用量, 一回ガス換気量, PHEPの3つを適切に確保し, 肺胞レベルでのairli...

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Veröffentlicht in:蘇生 2001, Vol.20 (3), p.241-241
Hauptverfasser: 中沢弘一, 横山訓典, 槙田浩史
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:ARDSあるいはacute lung injuryに対して, 肺の過伸展を避け, 適切なPEEPを用いる換気設定(open lung approach)や, 低い換気量を採用することが予後を改善し, 肺損傷を防止する上で有効である. 一方, ガス結合能を有するperfluorocarbon(Perflubron:PFOB)を, 気道内に満たしておいてから陽圧換気を行うpartial liqued ventilation(PLV)も虚脱肺胞を効率的にリクルートメントし, ガス交換能を改善する. 我々は, PFOBの用量, 一回ガス換気量, PHEPの3つを適切に確保し, 肺胞レベルでのairliquid interfaceを十分にとることがPLVにおけるガス交換の上で重要であることを示してきた. また近年では, 障害肺に対するガス交換改善効果のほかにPFOBのもつ抗炎症作用やPLVによる肺保護効果も注目されている. そこで, われわれはhigh tidal volumeによる陽圧換気法, small tidal volumeによる陽圧換気法, PLVの3者で, 敗血症(SIRS)に対する肺内の炎症性反応がどのように影響を受けるかを回腸の結紮と穿刺による敗血症モデルで調べてみた. ラットを静脈麻酔下に気管切開し, 14Gのカテーテルを挿管後, 人工呼吸を行った. 敗血症モデル作成後, 以下のグループに分け, 4時間後に血中サイトカイン, 肺組織mRNA発現(サイトカイン;RT-PCR法)を調べた. (1)C-N群:正常ラット, (2)S-high TV群:TV=20ml/kg, (3)S-small TV群:TV=6m/kg, (4)S-PLV群:PFOB 10ml/kg+TV=10ml/kg. しかし, 炎症性サイトカイン(IL1β)の肺内遺伝子発現を指標とした船, PLVは敗血症モデルにおける肺内炎症反応を抑制することは示されなかった. PLVはopen lung approachや低換気量を上回るような肺保護効果をもたらさないのかもしれない. PLVは抗炎症薬剤などのdrug deliveryの手段として, 肺機能の蘇生と再生のために応用してゆくことが将来の課題であると思われる.
ISSN:0288-4348