血球貪食症候群による多臓器障害の1症例
血球貪食症候群とは末梢血, 骨髄, リンパ節, 脾などに血球貪食細胞が著増し, 自己の臓器を障害する症候群の総称であり, ウィルス感染も原因の一つと考えられている. 重症例では, 痙攣など中枢神経症状や腎不全を伴い多臓器不全で死亡する. 今回EBウィルス感染に続発したと思われる血球貪食症候群により, 多臓器障害を呈した1症例を経験したので報告する. 〔症例〕症例は4歳女児, 体重19kg. 1999年3月末頃より発熱, 咳嗽, リンパ節腫脹等あり, 近医にてEBウィルス感染症と診断された. その後, 白血球減少, 血小板減少, 肝機能障害のため4月16日当院に転院となり, 骨髄検査で血球貪食症...
Gespeichert in:
Hauptverfasser: | , , , , , |
---|---|
Format: | Tagungsbericht |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 血球貪食症候群とは末梢血, 骨髄, リンパ節, 脾などに血球貪食細胞が著増し, 自己の臓器を障害する症候群の総称であり, ウィルス感染も原因の一つと考えられている. 重症例では, 痙攣など中枢神経症状や腎不全を伴い多臓器不全で死亡する. 今回EBウィルス感染に続発したと思われる血球貪食症候群により, 多臓器障害を呈した1症例を経験したので報告する. 〔症例〕症例は4歳女児, 体重19kg. 1999年3月末頃より発熱, 咳嗽, リンパ節腫脹等あり, 近医にてEBウィルス感染症と診断された. その後, 白血球減少, 血小板減少, 肝機能障害のため4月16日当院に転院となり, 骨髄検査で血球貪食症候群と診断された. 入院後肝機能はさらに悪化し, 腎機能障害, DIC, 代謝性アシドーシス, 全身痙攣も併発し, 人工呼吸管理となった. その後も全身状態はさらに悪化し, 血圧低下に対しドパミン, ドブタミンが投与された. 4月20日, 腎不全に対し緊急腹膜透析カテーテル挿入術が施行された. 〔麻酔経過〕入室時, 血圧79/19mmHg, 心拍数129bpmであった. モニター装着後, 酸素-亜酸化窒素-イソフルラン-ベクロニウムにて麻酔導入した. 手術開始後, 腹水200ml吸引により, 血圧50/18mmHg, 心拍数40bpmとなった. 直ちに心臓マッサージを開始したが, 蘇生処置に反応しなかった. 〔考察および結語〕血球貪食症候群は時に重篤な経過をとり, 死亡率は約3割にも達する. 本症例は約3週間で急激に多臓器障害, 全身状態の悪化を来たしたことから慎重な麻酔管理が必要であった. |
---|---|
ISSN: | 0288-4348 |