20分にもおよぶ心停止後生存退院できた1例

[症例および経過]50才男性. 動悸, 全身倦怠感を主訴に来院, 心房細動・心不全で入院した. 入院後の精査により甲状腺機能亢進症が基礎疾患として認められた. 入院6日目早朝突然VFにより心停止をきたしたが, 20分後看護婦が気づきCPRを開始した. この間のモニター記録上VFが持続していた. 発見時は呼吸停止, 瞳孔散大していた. CCU・ICU当直医2名によるDC等の蘇生術により比較的容易に心拍再開し, その後も各種循環薬剤を必要としたものの蘇生は成功した. 30分後には洞調律への回復, 瞳孔の縮小および自発呼吸が認められ, CCUにおいて軽度低体温療法を導入し, 全身麻酔下で5日間維持し...

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Hauptverfasser: 大久保一浩, 湯本正人, 棚橋順治, 林雄三
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:[症例および経過]50才男性. 動悸, 全身倦怠感を主訴に来院, 心房細動・心不全で入院した. 入院後の精査により甲状腺機能亢進症が基礎疾患として認められた. 入院6日目早朝突然VFにより心停止をきたしたが, 20分後看護婦が気づきCPRを開始した. この間のモニター記録上VFが持続していた. 発見時は呼吸停止, 瞳孔散大していた. CCU・ICU当直医2名によるDC等の蘇生術により比較的容易に心拍再開し, その後も各種循環薬剤を必要としたものの蘇生は成功した. 30分後には洞調律への回復, 瞳孔の縮小および自発呼吸が認められ, CCUにおいて軽度低体温療法を導入し, 全身麻酔下で5日間維持した. 蘇生当日, 3日目, 13日目, 1ヶ月後における頭部CT検査上明らかな低酸素性脳症の所見はなかった. 蘇生14日後には抜管でき, 肺炎治療のため24日後に気管切開術を行ったが, 意識レベルの改善には約1ヶ月, 再抜管に2ヶ月を要した. その後リハビリを続け歩行できるまで約3ヶ月, 退院まで6ヶ月を要した. 退院時はfull recoveryに近いものの軽度高次脳機能障害を認めた. [考察およびまとめ]院内におけるモニタリング患者の心停止で発見が遅れたことは反省すべき点であるが, 本症例は蘇生術に反応もよく蘇生直後より脳幹機能の回復が認められた. 低体温療法も大きな合併症無く施行でき, 比較的良好な治療経過であり脳機能回復のマイナス要因が少なかったのは幸いであった. 偶発性低体温における蘇生限界時間の延長はときに認められるが, 正確な記録下で心停止後20分経たものの脳蘇生し得た症例は珍しく, また回復の程度・時間から心停止時間の限界を示唆するとも考えられた.
ISSN:0288-4348