低体温に対し人工心肺によるrewarmingを行った1症例

低体温は種々の背景疾患のもとで発症しうるが, とくに高齢者では体温調節機能の低下により, 寒冷曝露時に低体温になりやすい. 高度低体温となると, 昏睡状態に陥り生死の判定が難しい例もあるといわれる. 治療法として, passiveおよびactive rewarmingの両者の報告がある. われわれは, 直腸温24.5度の低体温症例に対し, 人工心肺による蘇生およびrewarmingを行い, 復温したので文献的考察を加えて報告する. 75歳, 女性. 既往歴:昭和56年変形性股関節症にて手術し以後は臥床がちである. 現病歴:昭和61年12月1日朝, 意識障害あるため当院へ搬送される. 来院時所見...

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Hauptverfasser: 三浦正明, 高谷哲夫, 加藤秀一, 滝口守, 山崎陽之介
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:低体温は種々の背景疾患のもとで発症しうるが, とくに高齢者では体温調節機能の低下により, 寒冷曝露時に低体温になりやすい. 高度低体温となると, 昏睡状態に陥り生死の判定が難しい例もあるといわれる. 治療法として, passiveおよびactive rewarmingの両者の報告がある. われわれは, 直腸温24.5度の低体温症例に対し, 人工心肺による蘇生およびrewarmingを行い, 復温したので文献的考察を加えて報告する. 75歳, 女性. 既往歴:昭和56年変形性股関節症にて手術し以後は臥床がちである. 現病歴:昭和61年12月1日朝, 意識障害あるため当院へ搬送される. 来院時所見:昏睡状態, 浮腫様顔貌, 皮膚乾燥, 口唇チアノーゼを認め, 対光反射あるも瞳孔は両側とも散大していた. 血圧110, 脈拍25と著明な徐脈で上室性, 呼吸毎分10回努力性で, 直腸温は24.5度であった. 低体温症による昏睡と診断し, 人工心肺によるrewarmingを行うことにする. パンクロニウム, 純酸素にて調節呼吸を行うとともに, 右大腿動静脈より送・脱血カニューレを挿入して送血温34.5度から部分人工心肺により灌流量毎分1.0mlで加温を開始した. 25分後に直腸温33.6度, 脈拍88と上昇を認め, さらに1時間25分後アシドーシス, 貧血を改善させ人工心肺を終了し, 帰室した. 術後2日目の内分泌機能検査にてT_3 , T_4 の低値, TSHの高値を認め, 甲状腺機能低下症を疑わせた. 意識レベルは100~200で, 脳波上2~6Hzのθ, δ波が中心であった. 術後6日目右胸水貯留およびクレブジエラ肺炎を併発して死亡した. 甲状腺機能低下性昏睡に続発した高度低体温症と思われる症例に遭遇し, 部分体外循環を用いて, バイタルサインの著変を来すことなく, 安全に容易に復温に成功した.
ISSN:0288-4348