小児心肺蘇生例の予後について

本院ICUにて約4年間に管理した17例の小児心呼吸停止蘇生例を対象に, 蘇生後の予後に関して検討を行った. 17例中, 年齢別では1歳未満が11例と多く, 疾患別では脳髄膜炎例および気道閉塞例が多く, 新生児例はいずれもVitK欠乏性脳内出血例であった. 蘇生後の転帰では, 17例中死亡例は10例で, 生存例は7例であった. 生存例のneurological outcomeは6例が植物状態か重度障害を残し, 完全回復が得られたのは1例のみであった. 疾患別の転帰では, 完全回復例は脳炎であったが, 生命予後よりみれば, 脳髄膜炎や脳内出血などの脳内病変に起因する症例で死亡例が多く, 気道閉塞や...

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Hauptverfasser: 辻本三郎, 川崎道朗, 瀬尾憲正, 梶本和宏, 簗瀬建一, 南ちひろ, 白永潤, 山崎和夫, 加藤浩子
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:本院ICUにて約4年間に管理した17例の小児心呼吸停止蘇生例を対象に, 蘇生後の予後に関して検討を行った. 17例中, 年齢別では1歳未満が11例と多く, 疾患別では脳髄膜炎例および気道閉塞例が多く, 新生児例はいずれもVitK欠乏性脳内出血例であった. 蘇生後の転帰では, 17例中死亡例は10例で, 生存例は7例であった. 生存例のneurological outcomeは6例が植物状態か重度障害を残し, 完全回復が得られたのは1例のみであった. 疾患別の転帰では, 完全回復例は脳炎であったが, 生命予後よりみれば, 脳髄膜炎や脳内出血などの脳内病変に起因する症例で死亡例が多く, 気道閉塞や溺水例では生命予後は概して良好であった. ICU入室12時間後の臨床徴候では, 死亡例は全例comaで, 瞳孔散大, 対光反射消失がみられた. 一方, 生存例では4例がcomaであったが, 瞳孔散大, 対光反射消失がみられたのは1例であった. 痙攣は死亡例で5例, 生存例で4例にみられた. 脳波では, 死亡例で8例が平坦波で, 生存例でも2例が平坦波であったが, 残り5例では何らかの脳波活動が認められた. しかし, 生存例でも, 長期経過で4例が平坦波となった. 脳CTでは, 死亡例ではdiffuse low densityやmass effectが強く認められた. 一方, 生存例では長期経過の観察では6例で脳萎縮の所見となった. 蘇生後の合併症では, 脳症を除くと, 死亡例では急性臓器不全の形をとり, 一方, 生存例では慢性期に肺炎や消化管出血, 低栄養が問題となった. 小児の心肺蘇生例では, 特にそのneunlogical outcomeが問題となるが, われわれの症例では17例中7例が生存したが, 1例のみが完全回復例であった. このことは, われわれの大きな反省点であるが, 現行の医療の限界があるのかも知れないと考えられた.
ISSN:0288-4348