両側耳下腺良性リンパ上皮性疾患の一例
今回我々は, 両側耳下腺に発生した無痛性の腫瘤性病変において左右異なる画像所見を呈した良性リンパ上皮性疾患を経験したので若干の考察を加えて報告する. 患者:82歳, 女性 主訴:両側耳下部の腫れ 現病歴:平成10年10月頃より右側耳下部の腫脹を自覚するも放置. 同年12月某整形外科を受診した際薬を処方されるも腫脹の改善せず. 平成11年1月某病院口腔外科を受診し, CT検査を行ったところ両側耳下腺部に病変を認め, 精査の目的で本学紹介来院した. 既往歴:平成8年頃から高血圧症, 平成11年頃から白内障 臨床所見:両側耳下腺部に腫脹を認めるも発赤, 疼痛なく, 境界明瞭, 両側とも弾性やや軟....
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Veröffentlicht in: | 歯科放射線 2000, Vol.40 (2), p.167-168 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 今回我々は, 両側耳下腺に発生した無痛性の腫瘤性病変において左右異なる画像所見を呈した良性リンパ上皮性疾患を経験したので若干の考察を加えて報告する. 患者:82歳, 女性 主訴:両側耳下部の腫れ 現病歴:平成10年10月頃より右側耳下部の腫脹を自覚するも放置. 同年12月某整形外科を受診した際薬を処方されるも腫脹の改善せず. 平成11年1月某病院口腔外科を受診し, CT検査を行ったところ両側耳下腺部に病変を認め, 精査の目的で本学紹介来院した. 既往歴:平成8年頃から高血圧症, 平成11年頃から白内障 臨床所見:両側耳下腺部に腫脹を認めるも発赤, 疼痛なく, 境界明瞭, 両側とも弾性やや軟. 大きさは右側は直径40mm程度の類円形, 左側は25×51mmの楕円形を呈する. 口腔乾燥感は軽度認めた. 臨床診断:両側耳下腺腫瘍 CT所見:右側耳下腺部に直径30mm程度の類円形, 境界明瞭な病変を認める. 耳下腺は萎縮しており形態不整. 造影CTでは病変内部は造影性が認められないが, 病変周囲は一層の造影性を有し, 一部に隔壁様構造を認めた. 左側耳下腺下極部には直径20mm程度の類円形, 境界明瞭な病変で, 造影によって内部不均一な造影性を示した. MRI所見:右側耳下腺部にT1強調画像でlow intensity, T2強調画像でhigh intensityの直径30mm程度の類円形で境界明瞭な病変を認め, Gd-DTPAによる造影では内部均一で造影性がなく, 隔壁構造を有し, コロナル像より隔壁で分けられた内部のintensityは異なる病変を認めた. 左側耳下腺下極部にはT1強調画像でlow intensity, T2強調画像でintermediate intensity, 造影にて内部不均一な造影性を有する境界一部不明瞭な長径20mmの楕円形を呈する病変を認めた. 唾液腺シンチ所見:両側耳下腺にRIの集積は認められず, 刺激に対しても無反応. 病変本体へのRIの集積は認めない. 超音波検査:右側耳下腺部の病変は表層から深層まで22.5mm, 境界明瞭で内部均一な無エコー, 後方エコーは増強を認める. 左側耳下腺病変は13.1×8.5mmの類円形, 境界明瞭, 内部やや不均一で一部に高輝度エコー域が存在. 後方エコーの増強を認める. 以上の所見から右側病変は腫瘍性病変よりは嚢胞性疾患を疑い, 左側病変は充実性なことから良性腫瘍を疑った. 後日右側耳下腺腫瘍摘出術を行った. 手術所見から病変の大きさは47×50mmの弾性軟, 耳下腺外側に位置し, 内部は無色透明の漿液性の内容液が多量に存在した. 病理所見では全域にわたる瀰漫性の強いリンパ球浸潤が認められ, 導管の一部が嚢胞を形成している嚢胞性変性を伴う良性リンパ上皮性疾患であった. 一方1ヶ月後に左側耳下腺部の病変に対して摘出術が行われ, 術後の病理所見では嚢胞の形成が認められないが右側同様の良性リンパ上皮性疾患であった. |
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ISSN: | 0389-9705 |