下顎第二大臼歯歯根形態による集団間類似性の検討
目的:すでにアイヌを含む日本を中心とした下顎第二大臼歯のX線学的な歯根形態による集団間類似性については, 二つの大きなグループに分離され, さらに韓国, 中国および台湾との関係など, 日本人の起源に関する埴原のいわゆる「二重構造説」を支持する結果が得られている. 今回は, とくに縄文人との関連性について検討した. 材料および方法:資料は今までの各地域のデータに加えて, 縄文人については神奈川歯科大学の鹿島教授のご協力により国立博物館に収蔵されている縄文人15体のパノラマX線写真を用いた. 評価の方法は, 下顎第二大臼歯の近, 遠心根の解離度の程度を一定の基準を設けType A~Dの4型に分類し...
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Veröffentlicht in: | 歯科放射線 1999, Vol.39 (suppl), p.38-38 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 目的:すでにアイヌを含む日本を中心とした下顎第二大臼歯のX線学的な歯根形態による集団間類似性については, 二つの大きなグループに分離され, さらに韓国, 中国および台湾との関係など, 日本人の起源に関する埴原のいわゆる「二重構造説」を支持する結果が得られている. 今回は, とくに縄文人との関連性について検討した. 材料および方法:資料は今までの各地域のデータに加えて, 縄文人については神奈川歯科大学の鹿島教授のご協力により国立博物館に収蔵されている縄文人15体のパノラマX線写真を用いた. 評価の方法は, 下顎第二大臼歯の近, 遠心根の解離度の程度を一定の基準を設けType A~Dの4型に分類し頻度を求め, これらをもとに統計処理を行った. 統計処理は, 埴原先生(東大名誉教授)により作成されたプログラムを用い, Balakrishnan & SanghviのB^2 距離を計算し, その距離行列からのクラスター分析および多次元尺度構成法によってデンドログラムならびに二次元展開図を作成し, 集団間類似性について検討した. 結果:これまでのアイヌを含む日本地域の分析では, 縄文および弥生の形質を温存すると思われる縄文系および弥生系の二つのグループに分類したが, 縄文人の占める位置は明らかに縄文系のグループに属し, 弥生系とは分離していた. 日本と沖縄地域は, それぞれ日本-A, B, 沖縄-A, B, 南西-A, Bとグループ化して, これにアイヌ, 縄文を加えた二次元展開図では, X軸上(主因子)での縄文系と弥生系での分離はさらに明らかとなり, 縄文とアイヌはY軸上で, 離れた位置的関係を示した. 日本-A, B, 沖縄-A, B, 南西-A, B, アイヌ, 縄文に韓国, 中国, 台湾を加えた分析では, 前述の縄文系に広州, 台湾が含まれ, 弥生系では西安, 南韓国との類似性が見られた. さらに南アフリカ, ヨーロッパおよびアメリカの集団を加えても, 日本, 沖縄, 東南アジア, アイヌ, 縄文ではX軸上の縄文系と弥生系を分離する位置的関係は保たれていたが, 南アフリカはこれとは別な集団として独立していた. |
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ISSN: | 0389-9705 |