反応タイムコースの異常によりALTが測定不可となった一症例について

アラニンアミノトンランスフェラーゼ(alanine aminotransferase; ALT)測定の反応タイムコースは第2試薬添加後,340 nmでの吸光度が時間経過とともに減少するが今回,第2試薬添加後に吸光度増加を認めた症例を経験した。吸光度増加は主波長,副波長を含む14波長全てで見られた。免疫グロブリン値(IgG, IgA, IgM)は基準範囲内でM蛋白は検出されなかったが,免疫グロブリン吸収試験,還元処理の結果からIgMによる異常反応と考えられた。市販の試薬には性能向上のために主成分以外に添加されているものがある。それらと異常反応を起こした可能性を考え,試薬を自家調製して測定したが反...

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Veröffentlicht in:医学検査 2024/10/25, Vol.73(4), pp.831-841
Hauptverfasser: 井上, 悦子, 澁谷, 仁美, 池本, 優子, 林, 亜実, 井上, 英昭
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:アラニンアミノトンランスフェラーゼ(alanine aminotransferase; ALT)測定の反応タイムコースは第2試薬添加後,340 nmでの吸光度が時間経過とともに減少するが今回,第2試薬添加後に吸光度増加を認めた症例を経験した。吸光度増加は主波長,副波長を含む14波長全てで見られた。免疫グロブリン値(IgG, IgA, IgM)は基準範囲内でM蛋白は検出されなかったが,免疫グロブリン吸収試験,還元処理の結果からIgMによる異常反応と考えられた。市販の試薬には性能向上のために主成分以外に添加されているものがある。それらと異常反応を起こした可能性を考え,試薬を自家調製して測定したが反応タイムコースは同様であった。自家調製試薬と現行試薬それぞれの第1試薬に界面活性剤を添加したところ,第2試薬添加後の吸光度増加を認めず,通常の反応タイムコースとなった。以上より疎水性の強いIgMの存在がALT測定に影響を与えたと考えられた。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.24-5