家族性大腸腺腫症患者の十二指腸ポリポーシスに対する膵温存十二指腸切除術の経験
大腸全摘術を行った家族性大腸腺腫症患者の経過観察で注意を要する点は, 十二指腸ポリープの癌化である. 特に発生率の高いVater乳頭部周辺のポリープの癌化に対しては膵頭十二指腸切除を余儀なくされることもある. しかし大腸全摘に加えた膵頭十二指腸切除は, 侵襲の点や術後QOLについて克服する課題として残されている. 今回, 我々は家族性大腸腺腫症の大腸全摘術後, 残存する十二指腸ポリポーシスに対して膵温存十二指腸切除術(Pancreas-preserving total duodenectomy:PPTD)を施行した一例を経験した. 症例は40歳男性で, FAP及び併発した直腸癌に対して大腸全摘...
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Format: | Tagungsbericht |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 大腸全摘術を行った家族性大腸腺腫症患者の経過観察で注意を要する点は, 十二指腸ポリープの癌化である. 特に発生率の高いVater乳頭部周辺のポリープの癌化に対しては膵頭十二指腸切除を余儀なくされることもある. しかし大腸全摘に加えた膵頭十二指腸切除は, 侵襲の点や術後QOLについて克服する課題として残されている. 今回, 我々は家族性大腸腺腫症の大腸全摘術後, 残存する十二指腸ポリポーシスに対して膵温存十二指腸切除術(Pancreas-preserving total duodenectomy:PPTD)を施行した一例を経験した. 症例は40歳男性で, FAP及び併発した直腸癌に対して大腸全摘術を施行した患者である. 約4ヵ月後肝転移を疑わせる所見を認め, また十二指腸にはポリープ(管状腺腫)が密生していたため, 肝右葉切除およびPPTD(Billroth-I再建)を施行した. 術後, 縫合不全, 膵液漏, 胆汁漏などの合併症はなく, 上部消化管透視でも狭窄や通過障害を認めずに通常の日常生活に復帰できた. われわれは十二指腸ポリポーシスや多発性ガストリノーマに対して現在まで5例のPPTDをおこなっているが, 全例合併症は認めず術後のQOLも良好に経過している. 根治性や機能予後につき長期の観察と評価が必要であるが, PPTDは家族性大腸腺腫症の十二指腸ポリポーシスに対して極めて有効な治療法であると考えられた. |
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ISSN: | 1346-1052 |