がん対策推進企業アクション実態調査における,推進パートナーの職域での5がん検診受診率と,受診率に関係した取組みに関する報告

目的:職域でのがん検診受診率向上に繋がる対策には,エビデンスが乏しいものが多い.がん対策推進企業アクションの実態調査から,企業・団体で行われている対策中で有効性が高いものを明らかにすることが目的である.対象と方法:2021年度推進パートナー企業・団体への実態調査に回答した企業・団体を対象とした.5がん(胃がん,肺がん,大腸がん,乳がん,子宮頸がん)検診受診率とがん検診推進の取組みに関してウェブ上で回答を得た.取組みによって非階層的クラスター分析を行い,群毎の5がん検診受診率を分散分析によって比較した.さらに胃がん/肺がん/大腸がんと乳がん/子宮頸がんの2つの各平均受診率を従属変数,各取組みの実...

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Veröffentlicht in:産業衛生学雑誌 2023/09/20, Vol.65(5), pp.231-247
Hauptverfasser: 南谷, 優成, 向井, 智哉, 立道, 昌幸, 片野, 厚人, 福吉, 潤, 中川, 恵一
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:目的:職域でのがん検診受診率向上に繋がる対策には,エビデンスが乏しいものが多い.がん対策推進企業アクションの実態調査から,企業・団体で行われている対策中で有効性が高いものを明らかにすることが目的である.対象と方法:2021年度推進パートナー企業・団体への実態調査に回答した企業・団体を対象とした.5がん(胃がん,肺がん,大腸がん,乳がん,子宮頸がん)検診受診率とがん検診推進の取組みに関してウェブ上で回答を得た.取組みによって非階層的クラスター分析を行い,群毎の5がん検診受診率を分散分析によって比較した.さらに胃がん/肺がん/大腸がんと乳がん/子宮頸がんの2つの各平均受診率を従属変数,各取組みの実施を独立変数,企業・団体の規模と業種を統制変数とした重回帰分析を行った.結果:704企業・団体より回答を得た.クラスター分析によって分類された3群を,積極群,中庸群,消極群と定義した.すべてのがん検診で,群の主効果は有意であり,多重比較から,積極群と消極群(ts > 3.30, ps < .01, Hedges’ ds > 0.73),中庸群と消極群(ts > 3.70, ps < .01, Hedges’ ds > 0.88)の差は有意であった.肺がん以外の4がんでは積極群と中庸群の差は有意でなく(ts < 0.21, ps < .84, Hedges’ ds < 0.02),肺がんでは有意であったが効果量はわずかだった.重回帰分析より胃がん/肺がん/大腸がんでは,「大腸がん検査キットの全対象者への配布(β = 0.14)」が,乳がん/子宮頸がんでは「企業・団体実施のがん検診費用補助(β = 0.24」,「就労扱いでの検診受診(β = 0.18)」,「受診時の女性受診者への配慮(β = 0.17)」がそれぞれの平均受診率への効果が有意であった.考察と推論:企業・団体における,がん検診受診率に関係した,がん検診推進の取組みが抽出された.これらの取組みを受診率が低い企業・団体に実践してもらえば,受診率向上に結びつく可能性がある.
ISSN:1341-0725
1349-533X
DOI:10.1539/sangyoeisei.2022-022-B