働く人の健康(元気)を生み出す組織(職場)づくり -職場におけるヘルスプロモーション
10月28日, 大阪国際交流センターで, ワークショップが行われた. 今回の企画は, 産業医, 産業看護, 産業衛生技術3部会による最初の合同企画であり, 5年間継続される. 参加者は, 約200名と盛況で, 職場組織ストレスヘの関心の大きさを伺わせる. 最初に, 広瀬産業医部会副部会長から, 近年の激しい産業変化によるストレスが大きな社会的な問題となり, 過労死, 過労自殺やメンタルストレスを引き起こしている. この問題へのアプローチとして, ストレスを生み出す源として「企業内の組織構造ストレス」を捕らえ, これを変容させ, 「組織の健康を取り戻す」働きかけは産業保健の大きな課題であることが...
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Veröffentlicht in: | 産業衛生学雑誌 2005-03, Vol.47 (2), p.82-83 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 10月28日, 大阪国際交流センターで, ワークショップが行われた. 今回の企画は, 産業医, 産業看護, 産業衛生技術3部会による最初の合同企画であり, 5年間継続される. 参加者は, 約200名と盛況で, 職場組織ストレスヘの関心の大きさを伺わせる. 最初に, 広瀬産業医部会副部会長から, 近年の激しい産業変化によるストレスが大きな社会的な問題となり, 過労死, 過労自殺やメンタルストレスを引き起こしている. この問題へのアプローチとして, ストレスを生み出す源として「企業内の組織構造ストレス」を捕らえ, これを変容させ, 「組織の健康を取り戻す」働きかけは産業保健の大きな課題であることが述べられた. 河野啓子, 産業看護部会長からは, 「職場におけるヘルスプロモーションの現状と課題」と題し, ヘルスプロモーションは, 人々が自らの健康をコントロールし, 改善することができるようにするプロセスであること. そのプロセスでは, 健康を支援する環境づくりが重要であり, 働く人が元気を出す環境づくりには, 物理, 化学, 生物学的環境だけでなく, 職場組織を含めた社会的環境改善の大切さが強調された. 谷本啓, 同志社大学講師からは, 「産業保健スタッフが知るべき労働, 人事制度の基礎知識」と題し, バルブ経済崩壊後, 労務費削減のため, 雇用形態の多様化, キャリア形成の個人責任化, 成果主義, 業績主義的な人事制度へ移行していること. 成果主義は, 個人主義を台頭させ, 職場チームの連携を阻害し長時間労働を促していること. 現在の人事制度は, 企業が必要な労働力の質的, 量的な柔軟な獲得を可能にし, 人件費抑制の観点から雇用形態の多様化と雇用の流動化, 正規従業員の少数精鋭化と非正規従業員の戦力化を求め, 雇用の不安定性を起こすと述べられた. 話題提供を受け, 参加者から, 最近の労務, 人事制度の激変により起きている職場の問題を提起してもらった. 我々の期待を超え, 多くの参加者から生々しい現状報告があり, 雇用の多様化, 流動化, 成果主義の導入で, 産業保健を取り巻く環境が変化し, その困難度が増していることや, 成果主義導入が生産性の向上に結びついていないこと, 職場の人間関係を希薄にさせ, オーバーワークの増加などを通じて, 健康問題を引き起こしていること. 雇用の多様化により, 従来型の一律の保健支援が難しく, 雇用の多様化, 流動化に対応した保健支援のあり方の検討が必要なことが報告された. 最後に和田晴美, 産業看護部会副部会長から次回からのワークショップでは, 労働, 人事制度の変化の中で, 元気の出る成功事例を紹介してもらうことが提起された. 今回のワークショップでは, 多くの参加者からの発言があり, 産業保健スタッフの何とかしたいという力強いパワーが感じられた. このワークショップが職場の組織の改善に生かされることを期待して稿を終える. 註)非学会員ではありますが, 今回お招きした谷本啓先生のお話は示唆するところが多く, 学会員にも広く知っておいて戴きたく, 当学会誌編集委員会のご承諾のもと, 座長のまとめに続き, 資料として掲載させて戴きました. 〔企画運営委員長 岡田 章 付記〕 |
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ISSN: | 1341-0725 |